『プロジェクトセカイ』人気ボカロ曲を豪華オーケストラで体験! 『セカイシンフォニー2022』が織りなす夢のような時間

『セカイシンフォニー2022』レポ

 セガ×Colorful Paletteが贈る、iOS/Android向けリズム&アドベンチャーゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(プロセカ)。その人気楽曲をフィーチャーしたオーケストラ+スペシャルバンドによるコンサート『セカイシンフォニー2022』が6月11日、パシフィコ横浜・国立大ホールにて、昼・夜の二部構成で開催された。

 昨年の初開催で早くも人気を確かなものにした本コンサート。それぞれに強い想いを持つ各ユニットのキャラクターたちと、初音ミクをはじめとするバーチャルシンガーたちが紡いできた物語/音楽が、東京フィルハーモニー交響楽団&スペシャルバンドの卓越した演奏によって現実に響き渡る、夢のような時間だ。

 今年のオープニングを飾ったのは、Mitchie M×Gigaによる『プロセカ』のテーマソング「ワーワーワールド」。前回は歌唱を伴う演奏だったが、今回はオーケストラの魅力がストレートに伝わる、インストバージョンだ。フルートのソロから始まるシンフォニックなアレンジで、爽快で愛らしい原曲の魅力はそのままに、美しさと大きな広がりが付加された名演。楽曲のコンセプトどおり、日々の悩みや憂鬱を吹き飛ばす、これ以上ない開幕となった。

 『プロセカ』には5つのユニットが存在しており、それぞれ異なる音楽性を持っている。ここから各ユニットがそれぞれの「セカイ」で想いを語る映像を交えて、ステージが展開されていく。

 口火を切ったのは前回に引き続き、シブヤの宮益坂女子学園に通う幼馴染の女子高生4人で結成されたバンドユニット「Leo/need」だ。まず演奏されたのは、DECO*27による人気曲「needLe」。透き通るようなストリングスの音色から、生きることのままならなさ、儚さとともに、過去を振り切って新たな一歩を踏み出そうとする感情の美しさが伝わってくる。オーケストラのアレンジから、楽曲の解釈を紐解くのも、『セカイシンフォニー』の醍醐味だ。続いて、疾走感のあるバンドサウンドを活かしながら、ピアノやウィンドチャイムのキラキラとした音色が、Leo/needメンバーの想いに重なる「ステラ」(じん)。映像でのメンバー紹介も粋な演出だ。

 次にバトンを受け取ったのは、同じく宮益坂女子学園の4人組アイドルユニット「MORE MORE JUMP!」。「モア!ジャンプ!モア」(ナユタン星人)はBPMが速く、かつ愛らしさもあるオーケストラアレンジが難しそうな一曲だが、シンセサイザーとストリングスのユニゾンが見事で、ただ“元気”なだけではない、少女たちの複雑な魅力が伝わってくるようだ。そして、初演奏となった「Color of Drops」。40mPらしい、王道のキャッチーさと繊細さが共存した名曲だが、ハープの音色が印象的で、偽りのない想いを伝えるという決心を後押しするような、優しい演奏だった。

 そして、尖った楽曲の多い、男女混成4人組のストリートユニット「Vivid BAD SQUAD」。こちらもオーケストラとの融合が想像しづらい音楽性だが、「RAD DOGS」(八王子P)は重厚なイントロからピアノとストリングスが映え、ティンパニが一打ごとに緊張感を強調しており、どこか挑発的なVivid BAD SQUADを深く表現していく。Ayaseが手がけた「シネマ」は、洒脱で切ないメロディと、変則的なリズムをピアノが支える、出色のアレンジだった。

 休憩を挟んで元気に登場したのは、作中のテーマパーク「フェニックスワンダーランド」の舞台で活躍する高校生4人によるショーユニット「ワンダーランズ×ショウタイム」。「ミュージカル」という音楽性から、オーケストラとの相性がいい“ワンダショ”がまず送り出したのは、テーマパークのように賑やかな彼らの書き下ろし曲のひとつ「Glory Steady Go!」(キノシタ)だ。原曲と比較してもまったく違和感がなく、しかし確実にスケールアップしたサウンドに心が躍る。そして、音数が多く目まぐるしい展開が魅力の「トンデモワンダーズ」(sasakure.UK)は、その楽しさを微塵も失わせず、驚きのピアノソロで観客を沸かせる、本公演のハイライトの一つと言える演奏だった。

 ここから、正体不明の音楽サークル「25時、ナイトコードで。」のステージへ。スペシャルゲストとして、宵崎奏役の楠木ともり、朝比奈まふゆ役の田辺留依、東雲絵名役の鈴木みのり、暁山瑞希役の佐藤日向が登場し、「命に嫌われている」(カンザキイオリ)を歌唱した。『プロセカ』では宵崎奏の歌唱が印象的な超人気曲だが、今回はメンバー4人と初音ミクの掛け合いが新鮮で、壮大なストリングスアレンジとともに、楽曲の新たな魅力を引き出していた。

 さらに、息のあった掛け合い、キャラクターのイメージに合わせた衣装紹介など楽しいトークタイムを挟み、ヴァイオリンのハーモニーが美しい「アイディスマイル」(とあ)、あえて少ない音数で勝負した「限りなく灰色へ」(すりぃ)、迫力と遊び心が共存する「ジャックポットサッドガール」(syudou)、オーケストラらしい壮大な仕上がりになった「カナデトモスソラ」(ササノマリイ)と、豪華歌唱メドレーを披露。実はあまり揃って顔を合わす機会がなかったという4人のボーカルも息がぴったり&艶やかで、ファンにとっても貴重なステージになった。

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