ao、若き表現者が丁寧に紡ぐ歌声とリリック 堂々とした佇まいでオーディエンス魅了した人生初ライブ

ao、人生初ライブをレポート

 今年3月に中学3年生でメジャーデビューを果たした、ao。Spotify「RADAR:Early Noise 2022」に選出されたり、edhiii boiなど同世代ミュージシャンからリスペクトを受けたりと、表現力やスキルにおいて着実に注目を集めている存在だ。そんな彼女が、5月14日、都内某所にて初ライブ『ao SHOWCASE – in the sound -』を開催した。aoの人生初ライブに足を運ぶことができたのは、抽選で選ばれた80人のみ。応募数はその数倍にのぼっていたそうで、運のいい80人だけが目撃できるプレミアムライブとなった。

 aoといえば、小学6年生の頃、『アメリカズ・ゴット・タレント』に出演するグレース・ヴァンダーウォールの映像に衝撃を受けたことがきっかけで祖父の家にあったウクレレを手に取り、その2週間後にオーディションでウクレレを弾き語りしたところ、審査員たちを圧倒させたという背景を持つ。たった2週間でウクレレ弾き語りの腕をそれほどまでに磨いたというストーリーからも、彼女の天才ぶりが伝わるだろう。聴いた人を魅了する天性の声と、「こうなりたい」「こういうものを作り出したい」とはっきりとイメージを掴み切る力、そしてそれを創造する能力が、非常に優れているのだろうと思わされる。さらに歌詞の端々や、学校では吹奏楽部の部長や学級委員長をやっているというエピソード、そして初ライブでの佇まいからも、彼女がどんな物事に対しても真っ直ぐで、真面目で、努力家であることが伝わってくる。

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 開演時間になるとトラックが鳴り始め、ついにaoが姿を現す。軽く挨拶を告げて「you too」へ。サビに入ると一気に空がひらけていくようなサウンドスケープを声で描く。1曲目は相当緊張していたようだったが、2曲目「no THANKYOU」からはまさにライブタイトル『in the sound』が示すように、どんどんと自らの身体を音の中に溶け込ませていった。目を瞑って丁寧に歌い上げながらも、オーディエンスを真っ直ぐ見つめる一瞬の目力が強く、心が吸い込まれていく。続けて「Tag」は、歌を乗せるのが非常に難しいトラックではあるものの、そんなことをオーディエンスには一切感じさせないほどリズミカルで滑らかに歌いきっていた。

 人生初MCでは、「こんにちは、aoです」と改めて挨拶をして、「ずっとみなさんに会いたい、ライブをしたいと言っていて、私もテンションが上がってきました」と、この日に対する喜びを語る。そして、中学2年生の頃に好きだった先輩との出来事や自身の心の動きを曲にした三部作「already」「I know」「with you」を順に披露。

 音に身を委ねて歌っている最中は、一流アーティストとしての始まりを感じさせる堂々とした佇まいを見せるが、2度目のMCで突然「校内と最寄り駅でセブンティーンアイスを買って食べることにハマっています」と話し始めたときには、フロアにいた全員の顔がほころんだ。

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 「次に歌うのも恋心や憧れを書いた曲です。みんなの大切な人を思い浮かべながら聴いてください」と言って歌い始めたのは、「月」。ビートとピアノが主体のミニマルなトラックの上でソウルフルに歌う。静寂の中でaoの魂の震えが浮かび上がるような時間だった。そして「月」と繋げて歌い始めたのは、未発表曲。サポートメンバーのGeorge(MOP of HEAD)が弾くピアノだけに乗って、さらに一部はアカペラで歌い上げる。aoは一つひとつの言葉、もっと言えば一つひとつの文字を、丁寧に紡ぐように歌うのが印象的で、リスナーはその一文字一文字を耳から心地よくキャッチする、そんな歌のコミュニケーションが成り立っていた。

 続けて披露した未発表曲は、打って変わって、イントロから歪んだギターが鳴り響くロックナンバー。これまでのaoの楽曲にはなかった曲調で、彼女が様々なサウンドを愛し表現したいという意志を持っているアーティストであることを示した。この曲を演奏したあとには、サポートミュージシャンとして引っ張りだこで時代のサウンドのキーパーソンの一人とも言えるGeorgeが、「今日のライブを見られるってすごいことですよね。人前で初めてやってるので。後世に残るようなライブになる」とオーディエンスに語りかけた。



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