花譜、LEX、chilldspot……多彩なアウトプットで躍進する10代アーティストたち

多彩なアウトプットで躍進する10代アーティスト

 ハイスピードで移り変わるシーンに順応するのみならず、新たな地平を切り開くのはやはりいつも若い世代が中心だ。本稿では様々なジャンルで躍進する10代のアーティスト13組を紹介したい。

 ここ数年の若い世代の創作を後押したのはPC1台で音楽制作を行えるデスクトップミュージックの存在だろう。さなりは早くからDTMをアウトプット先に選び、発信力を高めた。年始リリースした最新曲「2FACE」ではデビュー時のプロデューサーであるSKY-HIとの鮮烈な再共演を果たすなど、着実に活動のフィールドを広げている。

さなり「2FACE feat.SKY-HI」

 SASUKEは幼少期よりダンスや映像の分野でも表現力を伸ばし、マルチな才能を携えてシーンに現れた。『東京パラリンピック2020』の閉会式でのパフォーマンスも記憶に新しい。最新曲「梅雨嫌い」もユーモラスな言語感覚が冴え渡っており、独自のJ-POPを探究中だ。

SASUKE「梅雨嫌い」

 2020年デビューの音楽かいとは打ち込みならではの自在なリズムにピアノの音色が絡むウェルメイドなポップスをDIYで作り続けている。最新EP『君は音楽で泣いた』収録の「Tears」ではオントレンドなビートメイクも展開し、世界基準のプロダクトもナチュラルに成し遂げた。

音楽かいと「Tears」

 カバー動画によって名を知らしめた映秀。も作詞作曲に加えて編曲も手掛けるシンガーだ。荘厳なメロディラインが胸を打つ最新曲「雨時雨」では、声楽専攻という経歴に由来する伸びやかな歌声が楽曲を劇的なものに仕上げている。

映秀。「雨時雨」

 ルーツが大きく影響をもたらしたケースも。ラッパーLEXは幼少期からHIPHOPに慣れ親しんだ筋金入り。アーティストとしても圧倒的な華やかさと色気を放つオートチューンラップは最先端のスター像を標榜している。今夏リリースの「なんでも言っちゃって」はJP THE WAVYを客演に迎えた軽妙洒脱でクールなアンセムだ。

LEX「なんでも言っちゃって (feat. JP THE WAVY)」

 ファッションや映像においてもセルフプロデュースを貫くDoulはエミネムやNirvanaといった影響源を基盤に挑戦的な音楽を生み続けている。代表曲「Howl」をはじめとする攻撃的で我が道を行くアティチュードが求心力を高めている。

Doul「Howl」

 ロシア出身のラッパーLizaは生まれ育ちや素直な感情をぶつけたリリックが耳を惹く。母国語をベースに強い意志を滲ませる「нож」や切実な恋愛感情を乗せた「Lonely東京」など楽曲の幅も広い。才能だけでなく、自らの培ってきたものや嗜好をスピーディーに創作に反映できるのは現行の10代アーティストに共通する特徴かもしれない。

Liza「нож」

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