浪漫革命が鳴らす、手を取り合って生きていくロマン “ひとりであること”と対峙して描くエバーグリーンな物語
そこから約1年半を経て、昨年末にはシングル『ひとり / ふたり』をリリースした。ひとりとひとりが“ふたり”で生きていくことの尊さを歌ったこのシングルでは、『ROMANTIC LOVE』で歌われた“忘れないこと”というテーマを、より広い出来事に落とし込んで解釈できるようになっている。まず「ひとり」については、〈あなたが生きた証を/少しでいいから残してよ〉〈僕らここにいたしるしを お互いにつける〉という歌詞からも明らか。浪漫革命の歌詞にはどこか“終わり”への意識が感じられ、それは少年から大人になり、有限性を実感したことの象徴なのかもしれないが、だからこそ今を生きた証を刻むことをより強く歌うようになった。たとえ人生が終わっても、生きた証を忘れない。恋愛の枠だけにとどまらない、生きていく上でのロマンが温かいメロディとともに表出した1曲だ。
対して「ふたりでいること」は、そんなひとり同士だからこそ、“ふたり”で過ごせる時間は決して当たり前ではないということ、それでも想いを届けるために歌があるということを書き記した、こちらも素晴らしい曲。コロナ禍で距離の離れた人同士にももちろん当てはまるが、きっとそれだけではなく、互いに違う人生を歩んできたからこそ、ちょっとしたことでこじれてしまう人間の本質を歌っているように思う。
そんな浪漫革命だが、2022年一発目のリリースは、1月26日に配信された新曲「フーアン」。石原さとみが出演しているすき家のCMソングとして、昨年末からオンエアされている楽曲だ。〈フーアンアン〉という口ずさみたくなるフレーズや、軽やかなメロディも相まって、肩の力が抜けたような心地よい1曲に仕上がっており、無邪気さが曲に乗り移っていた初期を思い起こさせる。しかし、“ひとり”で生きている〈あなた〉と“ふたり”になりたい〈わたし〉の関係性が浮かび上がる歌詞になっていることが興味深く、ここまで肩肘張らずに書き切れたのは、きっと『ひとり / ふたり』を作れていたからこそだろう。惠愛由(BROTHER SUN SISTER MOON)のコーラスとともに転調するブレイクポイントもクールに決まっていて、一筋縄ではいかない浪漫革命のミクスチャー性を楽しむこともできる。
浪漫革命の歩みを楽曲ベースで振り返ってきたが、要するに彼らは、様々な“ひとり”の生き方を見つめ、そんなひとり同士で手を取り合う関係性について歌うバンドである。“ひとり”である意味を全力でまっとうするからこそ、“ふたり(あるいは複数)”になることでもっと楽しくなる。それは藤澤自身が大学時代に孤独を感じていたところから、メンバーに出会って浪漫革命を組んだという、バンドの出自そのものと関係しているのかもしれない。あるいは、冒頭で述べたように個性の異なるメンバー同士でひとつのものを作る、バンドというロマンそのものを体現しているのかもしれない。
“ひとり”が集まって、それぞれの人生を反映させた音楽を作り、それをエバーグリーンなものとして届けていくことーーそれこそ彼らが鳴らす浪漫である。だとすれば、浪漫革命というバンド名も、決して大袈裟ではないことがよくわかるだろう。「ひとり」「ふたりでいること」「フーアン」という地続きの素晴らしい楽曲たちを経て、次はどんなアルバムに着地するのか、楽しみに待ちたい。
■リリース情報
浪漫革命「フーアン」
2022年1月26日(水)配信リリース
浪漫革命『ひとり/ふたり』
2021年12月22日(水)発売
<収録曲>
1.ひとり
2./
3.ふたりでいること
■ライブ情報
『浪漫革命ツーマンツアー「共闘 vol.2」』
4月4日(月)梅田 CLUB QUATTRO
4月6日(水)名古屋 CLUB QUATTRO
4月7日(木)渋谷 CLUB QUATTRO
※各公演ゲストは後日解禁
プレイガイド:https://w.pia.jp/t/romankakumei-oat/
OFFICIAL HP:https://roman-revolution.amebaownd.com/
Twitter:https://twitter.com/romankakumei