「あんなつぁ」がSNSで話題の5人組バンド、浪漫革命 貪欲な音楽愛が詰まった『ROMANTIC LOVE』を紐解く
京都発のZ世代バンド、浪漫革命の「あんなつぁ」がバズっている。そもそも昨年8月に配信限定リリースした楽曲だが、今年5月26日にボーカルの藤澤信次郎が何の気なしにMVのショートバージョンを添付してツイートしたところ、そのツイートした動画が24時間かからずに100万回再生を達成。28日朝には300万回再生突破。ツイートにはたんぽぽの川村エミコ、にゃんこスター スーパー3助ら芸人をはじめ、メンバーがリスペクトするART-SCHOOLの木下理樹、タレントの筧美和子、AWA社長の小野哲太郎ら著名人もリアクションし、Spotifyのデイリーバイラルチャートでは最高位8位(6月2日付)を記録した。そんな楽曲が気になる存在として急浮上した浪漫革命はどんなバンドなのだろうか。すでにバンドシーンを追いかけているリスナーにはおなじみかもしれないが、今回改めて7月22日にリリースした2ndフルアルバム『ROMANTIC LOVE』を軸に、その音楽性を紐解いてみたい。
— 藤澤信次郎/浪漫革命 (@believejiro) May 25, 2020
昨年リリースの1stアルバム『NEW ISLAND ROMANCE』ではシュガー・ベイブ時代の山下達郎を彷彿させるクリーントーンのリフやコード進行の楽曲もあれば、andymoriを思わせるロックンロールバンド至上主義的なナンバーもあり、また両者を接続したようなものもあった。20代前半である彼らの直近の先輩としてはYogee New Wavesに通じる詩情や、藤澤のボーカルに踊ってばかりの国の下津光史を思わせる部分もあった。だが、決定的に違うのはそれらの先人に憧れつつ、「バンドって最高」「恋や仲間との日常って最高!」という隠しきれない無邪気さ。バンド名にロマンと革命を付けてしまう勢い余ったニュアンスが楽曲にも横溢していたのだ。
そして1年を経てリリースされた今回の『ROMANTIC LOVE』はまず、さらに音数を絞り残響も少なく圧のない音像の「ふれたくて」でスタートする。never young beachが近作『STORY』でアプローチした音像を思い出す。別れてしまった彼女という存在が歌を作り続けさせているような、輝く季節の思い出の美しさをことさら大袈裟にすることのないアレンジに成長を見る。続く「ラブストーリー」はネオアコ要素もある爽快なギターロック。生きて誰かと出会い恋に落ちる情熱の迸りが思わずこぼれるような藤澤の叫びに近いボーカルも聴ける。こういうところはジャンルに拘泥していないというより、むしろ70年代後半の山下達郎のライブ盤を聴いているときに感じるような型にはまらないエネルギーに通じる気がする。