マカロニえんぴつ「溶けない」、浪漫革命「あんなつぁ」、神サイ「泡沫花火」……気鋭バンドによる2020年夏を彩る楽曲

 新型コロナウイルスの影響で夏フェスの開催数が激減した2020年。その年に注目されているバンドの見本市とも言える夏フェスが失われた今年も、多くのロックバンドがこの季節に向けて楽曲をリリースしている。

マカロニえんぴつ「溶けない」

 4月発売の2ndアルバム『hope』が好セールスを記録し、この夏も多くのフェスへの出演が予定されていたマカロニえんぴつは、7月24日に新曲「溶けない」を配信リリース。ずっしりとしたグルーヴと細やかなアレンジが冴え渡った記名性の強い1曲だ。はっとり(Vo/Gt)が描く他者とのコミュニケーションにまつわる歌詞も実にユニーク。綻びかけた関係性に着目し、とける/とけないの言葉遊びを用いて、青き日々ゆえの苛立ちや愛おしさを活写する。中盤、突如として訪れる不穏なパートではテンポチェンジし、その葛藤を激しく演出したドラマチックな1曲だ。歌詞に直接的に夏を連想させる言葉はないが、MVや楽曲が起用されているセブンティーンアイスのWEB CMを通せば、自ずと夏の匂いが立ち上がってくるはず。

マカロニえんぴつ「溶けない」MV

 同じく、春から夏にかけてフェスへの出演が多数予定されていたSaucy Dogは7月15日に「シーグラス」を配信リリース。ざらついたギターは潮風のように響き、海岸の情景が目に浮かぶ爽やかさには思わず空を見上げたくなる。愛する人との瑞々しい日々が綴られているが、終盤に描かれる別れによって楽曲の印象は丸ごと変わる。思い出となったこれまでのシーンは滲み、滴る感傷で胸がいっぱいに。海辺で光るガラスの破片を意味するタイトル通り、時を経たからこそ輝きを放つ記憶にまつわる歌だ。バンドの強みである清冽な切なさを存分に発揮した曲はこの季節にぴったりと合う。いつか青空の下、生演奏でこの曲が放つセンチメンタルを全身で受け止めてみたい。

Saucy Dog「シーグラス」Music Video <4th Mini Album「テイクミー」2020.9.2 Release>

 京都の5人組バンド・浪漫革命は7月22日に2ndアルバム『ROMANTIC LOVE』をリリース。昨年10月に公開され、今年5月にTwitter上でMVが2万リツイート以上の支持を得た「あんなつぁ」も収録されている。「あんなつぁ」は夏の真っ只中をたゆたうような曲調の中で、親密だった人との日々を思い返す1曲。若者の心象を描いてはいるものの、年を経るごとにどんどん味わい深くなる温かな普遍性がある。唱歌のような人懐っこいサビをついつい口ずさんではいつかの夏に思いを馳せる。今夏を思い出しながら、来年の夏にはぜひとも野外で歌ってみたい。また『ROMANTIC LOVE』にはその他にも、茹だる季節を素敵な思い出に変える楽曲が幾つも揃っている。この夏のサウンドトラックになりうる1枚だ。 

浪漫革命『あんなつぁ』Official MV

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