1stアルバム『PvP』インタビュー
ZOC 藍染カレン×巫まろ×大森靖子、“メタ視点”で描くアイドルと音楽と女の子 大沢伸一、神前暁、ミトら作家陣らのコメントも
『PvP』に楽曲制作に関わったクリエイターからのコメントも到着。ぞれぞれが思うZOCの魅力、楽曲制作時のエピソードを綴ってもらった。
大沢伸一(「CO LO s NA」)
大森靖子ちゃんと仕事をするまでZOCのことは知らなかったけど、送られてきたデモを聴いて彼女がここで何を成そうとしてるのかにとても興味が出た。そしてあまり考えずに反応するように楽曲アレンジを進めた。事実上必要ではないボクを歌のレコーディングに立ち会わせてくれたのもボクがこのプロジェクトへの理解を深めるための、大森靖子ちゃんの優しさだろう。個性の立った面々を愛情を持ってさばいている姿に彼女の別の側面を見つつ、本当に恐ろしいほど懐の深いクリエイター・アーティストだと思った、無敵だ。最後に、万理那嬢がときおりタメ口まじりでボクに話しかけてくれたのは心を許した証拠だと聞いて嬉しかった。ZOCも無敵だ。クラムボン ミト(「CUTTING EDGE」「①④才」)
携わった楽曲の聴きどころ
「CUTTING EDGE」はISAOさんのギターです。8弦ギターの重厚感。
「①④才」はブリッジのノイズパート、メルツバウばりのハーシュノイズにメンバー全員の「恨み節」を録音して散りばめているんですが、各々強烈な「恨み節」で久々に「これ、いいのかな?」と思いました。
レコーディング時のエピソード
西井さんへのボーカルディレクションする大森さんのオーダーがぶっ飛んでて
そういうディレクションもあるのかと思いました、、、うまく伝えづらいんですが、
「手越祐也(元NEWS)が〇〇公演の時に〇〇歌ったみたいな勢いで」的なこと言ったら、
突然サビのピッチが安定したり、、、へ?なんで通じてるの?みたいにぽかーんとしました。
ZOCの魅力
現状今僕が知ってる範囲の日本のロックバンド以上に
ロックなアティテュードを持ったアイドルだと思います。
鈴木大記(「family name」「A iNNOCENCE」など)
携わった楽曲の聴きどころ
私が担当させていただいた楽曲はほぼ全て一度世に出ている所謂既存曲でしたので、デビュー前より音楽をご一緒しているメンバーの皆さんと私自身含めて「成長」というテーマを大切にしながら制作に取り組みました。全曲特別な想い入れがあるのですが、強いて挙げるとすれば「ZOC実験室」は靖子さんのアルバムに収録されてから3年の時を経て初めてZOCのメンバーの歌唱が収録されたこともあり同じ楽曲でも全く違うアプローチに仕上がったことが印象的です。
ポップでありながら鋭利な感性を持つ彼女達に音楽家として負けないよう、8bitやハードなギターとリズム隊総出でプライドを賭けて勝負を挑みました。
編曲家がこういうことを言うのは良くないのかもしれませんが「family name」や「A iNNOCENCE」の音は自分が作ったというよりも、靖子さんを中心にメンバーの皆さんの心や生き様に導かれて何かを再現したような不思議な感覚でした。
テーマとした成長がどの部分なのかも含め是非楽曲を楽しんで頂けましたら幸いです。
レコーディング時のエピソード
数日間に渡り行われたレコーディングの終盤のスタジオには昔からビールサーバーがあり収録後には一杯無料でいただけるのですが、それを前から楽しみにしていたメンバーの方々が終わった順に「ビール!」と言って嬉しそうにブースから出られていた事が記憶に残っています。
先に出ないといけない方は「お先にいただきます」っと丁寧に伝えに来てくださって後、自分たちも終わってロビーに戻るとディレクションしていた靖子さんと私を見て口々に労いの言葉をかけてくださったりこの細やかな気遣いは是非お伝えしたいと思っておりました。
新メンバーで未成年の鎮目さんにも「のどかが成人して乾杯するのが楽しみだね」っと言い合っていたり、ステージやSNSでは見せない等身大のZOCの皆さんの人間としての魅力にもこの時垣間見えました。
余談ですが、物足りなさそうにしていた方には二杯目どうぞっと伝えたら文字通り飛んで喜んでいる方が居て運動神経すごいなーっと思った次第です。
ZOCの魅力
揺るがない才能を持つ大森靖子さんの楽曲とプロデュースという大きなプレッシャーの中で物怖じせず個々の魅力を最大限に発揮した上で全員で作り上げる世界観と表現力だと私は思っております。
西井さんの明るい華やかさ、藍染さんの凛とした華やかさ、巫さんの透明感ある華やかさ、雅雀さんの叙情的な華やかさ、鎮目さんの純粋な華やかさ、それら全てを包み込む靖子さんの壮大な華やかさ。
6人のアーティスト色が混ざっても黒ではなく鮮やかな虹色として輝く様は、まさにアイドルとして呼ぶに相応しい華やかさであり最大の魅力だと思います。
ヒダカトオル(THE STARBEMS)(「DON’T TRUST TEENAGER」)
携わった楽曲の聴きどころ
大森さんの弾き語りデモがすげぇロウでカッコ良かったので(セバドーとかベック初期みたいな90'sオルタナ感満載)、その味をバンドサウンドに落とし込んだら、更にエモさが増した…みたいなイメージを心がけました。繊細さと豪胆さ、疾走感と重量感、のように相反する要素が同居してるので、繰り返し聴いてるとちょっとずつ違う音が聴こえてくるかも…何度でもしがんでください!
レコーディング時のエピソード
名うてのプレイヤー揃いなので演奏自体はスムーズに進みましたが(むしろ俺が下手くそギタリストなので時間かかってしまった…)、レコーディングにメンバーを同席させることでバンド的な一体感も高まり、歌入れに好影響を与えていました(名監督の名采配です)。メンバーの対応力も凄まじくて、その場で思いついたアイデアを試したり、そのアイデアを取捨選択するセンスや速さもあり、大森さんとのグルーヴが高まっているのを感じました。
ZOCの魅力
自分がバンドを始める時に強く思っていたのは「とにかく人と違う何かをしたい」って事だったのですが(天邪鬼で申し訳ないですが)、ZOCにも似た匂いを感じていて…王道のエンタメが嫌いなわけじゃないんだけど、それ以外の道筋があるんじゃないか、それ以外の可能性があるんじゃないか、そのオリジナリティにこそ自分の生きる意味がある…という本質を感じさせてくれるエモな存在なので、学校や職場で居心地の悪さを感じてる人は絶対に聴いたり観たりすることをオススメします!
大久保薫(「LiBiDo FUSION」「濃♡厚♡接♡触」「SHINEMAGIC」)
携わった楽曲の聴きどころ
「SHINEMAGIC」
とにかくどんな状況でも自信を持って闘える「ZOC最強song」を目指しました。
スタジアムを揺るがすビート!どこをとっても最強でありたい。そうゆう思いが強すぎてTDの当日まで完成できませんでした。(笑)
あと!メンバーのヒューマンビートボックスを全編に散りばめました。
そこもイヤホンとかでじっくり聴いて欲しいです。
「濃♡厚♡接♡触」
80s の音で構築しzocメンバーの世代とのギャップを出しつつ2020年代の音楽としてアップデートしました。
特に太いぶっとーいLow感を感じて欲しいですね。
「LiBiDo FUSION」
「なんかエロいよねー」って思われたい曲。
レコーディング時のエピソード
「それな!人生PARTY」で西井さんの即興台詞パートが神がかりすぎてて お世辞ではなく「天才」って思いました。全編ガチの即興だったので。
ZOCの魅力
ワンアンドオンリーなグループ。「音楽的なNGなしっ」って勝手に思ってるので思い切って振り切れます(笑)。
幅広い方に聴いて頂ける最高のポップアルバムが完成したと思います。
神前暁(「眼球にGO!」)
携わった楽曲の聴きどころ
ジャンルなど細かい指定はなかったので、私にお話を頂いたのはそういうことなのかなと思い電波ソング系のアニソンテイストで仕上げてみました。ライブで叫ぶと盛り上がりそうです。(難しいご時世ですが)
レコーディング時のエピソード
ブースで一人ずつ録音している間、待機中のメンバーは一列に座ってスマホで音源やディレクションをチェックしていたので、女子校に教育実習に来た先生の気分でした。
ZOCの魅力
カワイイことへのこだわりが凄いです。メンバーも曲もカワイイし、大森さんからのアレンジチェックの返事も「カワイイです」(多分OKの意味)で流石だなと思いました。
sugarbeans(「FLY IN THE DEEPRIVER」「REPEAT THE END」など)
携わった楽曲の聴きどころ
大森靖子さんのソロの方では編曲に関わっていましたが、まさかZOCでオファーがあるとは思わずとても驚きました。私にお話がきたということはかなり深いところへもぐっていくような曲なのだろうと思っていましたら、まさにそういう曲でした。
「FLY IN THE DEEPRIVER」
もともと武道館(2021年2月8日)で初披露するため急遽録音することになった曲です。靖子さんの弾き語りデモを聞いた時からイメージはできていて、ドラム楠均さん、ベース千ヶ崎学さん、ギター設楽博臣さん、ヴァイオリン美央さん、ヴィオラ菊地幹代さん、チェロ内田麒麟さん、とならこの世界を共有できるのではないかと信頼してお願いしました。意図的に弾くコード音を減らした背景の中へ縦横無尽に動くストリングスを配置して、足りない世界と浮遊感を表現するようにしました。り子ちゃんの鬼気迫る表現力と、にっちやんのぱーんと光が差し込むようなところが特に好きです。ぜひ大きな音で聞いてもらいたいです。
「REPEAT THE END」
この曲も同じ日、同じメンバーで武道館用に録音しました。今はどうやらちゃんと説明をしないといけない時代になっているようで、そういうようなことを靖子さんと話しながら編曲しました。「FLY IN THE DEEPRIVER」と続けて聞くと同じ世界だけれどまた違うものに引っぱられていくのがわかると思います。5人の歌がそれぞれとてもいいです。靖子さんは本当にいろんな曲を作り出せるのだと気づかされました。そして誰に何を歌わせるかというところまで。
「まろまろ浄土」
この曲は初めて巫まろさんが加入したライブ用に急いでアレンジをしたものの進化版です(いつだって急なオファーなのです)。最初のライブまでは時間がなかったので打ち込みでしたが、いよいよスタジオで録音できるとなった時には全部生楽器にさせてくださいと頼み込みました。ベース安達貴史くん、ギター設楽博臣さん、ホーンセクションはFIRE HORNS、ドラムとピアノなどは私です。当初まだまろさんのことをよく知らなかったのでアレンジする前にWikipediaで調べるとおじゃる丸のことが書いてあって、ああそうかと思い(何が?)、日本的な音階でかつ昭和のアイドル歌謡曲のようなムードになればいいなと思って取り掛かりました。
レコーディングの日、楽器の録音が予定より早く終わり、見学に来ていたまろさん(本当はボーカル録音を翌日に予定していました)に冗談のつもりで歌っちゃいますか?と言ったら「いつでも歌う準備はできています」と言って颯爽とブースに入っていく姿がめちゃくちゃかっこよかったです。そしてもう最初からバキバキに歌声は素晴らしく、1,2テイクしか録りませんでした。この年(2020年)の歌録りで一番びっくりしました。いつかビッグバンドとストリングスがいるフルバンドで歌ってもらいたいです。私に指揮をさせてください。ちなみに全員☆刮目「カーーーー!」のヴィブラスラップはまろさんに叩いてもらいました。1発OKです。
「紅のクオリア」
この曲も同じくライブ用にアレンジしたものを進化させたものです。靖子さんからいくつかのキーワードをもらった中に「ムーンライト伝説」があり、ああそうかと思って自分なりに世界を広げていきました。この最初の、靖子さんの頭の中を勝手に探る作業がいつも好きです。カレンさんはもう自分の世界の色を持っているので何をやっても大丈夫だろうという安心感でアレンジも楽しく色々と挑戦しました。ベース安達くん、ギター設楽さんには特に何のヒントも言わずこの曲の中で遊んでもらったような感じです。かっこいいです。
最初にライブでこの曲を歌ったカレンさんと、歌録りの日に歌うカレンさんはもはや別の人でした。もうこの曲を抱きしめて歌っているような、というかもう同化しているかのようでした。こんなに曲に成長させられることってあるんだと思いました。あとカレンさんによるコーラスもとても素晴らしかったです。セリフ部分では他のメンバーをめろめろにしていました。余談ですが冒頭に4回鳴る鐘は、4:44だけに鳴る大きくて可憐な時計台を勝手にイメージしています。
レコーディング時のエピソード
大森靖子さんはメンバーすべての歌録りのディレクションをするのですが、その時にずっと敬語で話していて、メンバーに対して、そして音楽に対して本当に真摯に向き合っているんだなということを感じ胸が熱くなりました。
あと、隣の部屋で待機しているメンバーたちの話が大いに盛り上がってきた時、そっとドアを閉じにいく靖子さんのすまなそうな顔を見ることができました。
ZOCの魅力
私が言うまでもなくもうにじみ出てしまっていると思います。これからも応援しています。
■リリース情報
タイトル:『PvP』
発売日:2021年6月9日(水)
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▽アルバム詳細
https://www.zoc.tokyo/discography/detail.php?id=1018435
■ツアー情報
『ZOC FOR PRAYER TOUR 2021 SUMMER』
詳細はこちら
https://www.zoc.tokyo/schedule/tour/detail.php?id=1001984
■関連リンク
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