最前線プレイヤーが集うバンド BREIMENとは何者? 業界やアーティストから愛される理由に迫る
そして、メンバー間のディスカッションで緻密にアレンジやアンサンブルを組み上げていくスタイルのBREIMEN。楽曲だけでなく、ミュージックビデオも高木の同居人である映像作家・2025がデモの段階や高木の日常を反映しつつ制作するという。クリエイティブ集団でありながら、どこか生活感や部活感が自ずと溢れてしまう理由はそこにあるのではないだろうか。現在の5人体制後のMVは全て2025が手がけており、そもそも今回のアルバムの発端は2025と遊びで作ったスパイアクション映画「Play time is over」。コロナ禍で暇を持て余し、疲弊した時間を過ごしたからこそ、その心情を反転した「Play time isn’t over」、つまり、「仲間とともに遊びを続けていく」というテーマを持ったタイトルチューンが誕生したというわけだ。
さて肝心のニューアルバム『Play time isn’t over』の何が革新的なのか、紐解いていきたい。まず、1曲目の「aaA」が楽器の音をエディットした、どこかCorneliusを思わせる幾何学的コラージュであることに驚き、アウトロの“あ~”というコーラスからシームレスに続く「utage」の歌い出しである〈アッという間 ハッと気づく前に〉にへ繋ぐトリッキーな楽しさ。この曲で前作にも増してクリアかつリッチになったミックスにも鳥肌が立つ。その上、スペーシーなファンクだと思って聴き進めると、サトウのギター小僧っぽいノイジーなソロが突っ込んでくる。
「赤裸々」ではブルーノート的なジャズのコード進行とモタるビートの上をファンタジー、のちにゴスペルチックなメロディへ変性。そしてタイトルチューンで、ポストジャンル感を最も強く感じさせる「Play time isn’t over」へ。複雑に聴こえて8ビートや4ビートを細かく行き来し、ドラムやベース以外もビート感を醸成するその体感はまるでサッカーのファンタジスタかバスケのスタープレーヤーの身体能力を思わせる。モンスター級なのに理屈抜きに楽しいアンサンブルなのだ。他の曲にも感じることだが、特にこの曲で、ミクスチャーファンクバンドという狭義のイメージを払拭した部分は大きいだろう。後半に向けてセンチメンタルな色合いが濃くなり、ラストの「Zzz」ではロマンチックなスタンダード風なメロディも聴ける。この曲で歌われるのはスクラップ&ビルドを繰り返す街で〈置いてけぼりのボクらは今夜 夢の中プラネタリウムを 観に行く約束をした〉というもので、どこかジャケットのアートワークとつながる。
高木を始め、メンバーのやんちゃさや優しさをアカデミックな理論も勘も駆使して、フックだらけの曲に組み上げる彼ら。その音楽は食べたことのない料理、見たことのない高性能のギア、もしくは夢みたいなかっこいい車なんかに例えたくなるし、音楽を聴く楽しみの未知の扉が開かれること間違いなし、なのだ。
■石角友香
フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Qetic」「SPiCE」「Skream!」「PMC」などで執筆。音楽以外にカルチャー系やライフスタイル系の取材・執筆も行う。
■リリース情報
2021年5月12日(水)Release
BREIMEN 2nd Album『Play time isn’t over』PECF-3257
¥2,750(税込)
<収録曲>
1、 aaA
2、 utage
3、 ナイトクルージング
4、 赤裸々
5、 Play time isn’t over
6、 色眼鏡
7、 ツモリツモルラバー
8、 Noise
9、 Zzz
■ツアー情報
『「PLAYTIME」 〜”Play time isn’t over”RELEASE ONEMAN〜
TOKYO / OSAKA』
6月3日(木)東京・渋谷クアトロ *SOLD OUT
6月24日(木)大阪・梅田シャングリラ 一般発売中
BREIMEN OFFICIAL WEBSITE:https://brei.men/
Official Twitter:https://twitter.com/breimen_jp
OfficialInstagram:https://www.instagram.com/breimen_jp/
OfficialYouTubeChannel:https://www.youtube.com/channel/UCcUJKt_BprjOvaAudfGBlLw