フランシュシュが歌う“ゾンビアイドル”の魂 ストーリーとリンクする魅力的な音楽を紐解く

 フランシュシュの楽曲の魅力は、ゾンビとして「生き返りたい」などの“生”への未練を歌わず、一般的なアイドルと同様に愛や夢、希望といった前向きなものを歌っているところにある。アイドルとしてのサバイバルとゾンビとしての不遇が、視聴者の中で自然と重なり、そこに他では得られないエモさが生まれている。

 多くの楽曲で作詞を手がけている古屋真は、アイドルとゾンビは親和性が高いと言う。一般のアイドルもフランシュシュも、メイクをしてステージに立つ時はアイドルであり、メイクを落としたプライベートは隠すもので、フランシュシュはそのプライベートがたまたまゾンビだっただけだ、と。つまりゾンビという設定は、アイドルであるフランシュシュの一つの個性だということ。それを受け入れたうえで、ファンがフランシュシュに魅了されるのは、彼女たち個々が持っているドラマが、アイドルとして魅力的だからなのだろう。

■榑林史章
「山椒は小粒でピリリと辛い」がモットー。大東文化大卒後、ミュージック・リサーチ、THE BEST☆HIT編集を経て音楽ライターに。演歌からジャズ/クラシック、ロック、J-POP、アニソン/ボカロまでオールジャンルに対応し、これまでに5,000本近くのアーティストのインタビューを担当。主な執筆媒体はCDジャーナル、MusicVoice、リアルサウンド、music UP’s、アニメディア、B.L.T. VOICE GIRLS他、広告媒体等。2013年からは7年間、日本工学院ミュージックカレッジで非常勤講師を務めた経験も。

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