Lucky Kilimanjaro、ファンから不安な未来まで躍らせたツアー最終公演 全てを受け入れるユニークなステージを観て

Lucky Kilimanjaro、ファンから不安な未来まで躍らせたツアー最終公演 全てを受け入れるユニークなステージを観て

 Lucky Kilimanjaro(以下、ラッキリ)のライブを遅きに失した感もあるが初めて見た。正直、相当、感銘を受けた。“世界中の毎日をおどらせる”という、取りようによっては茫漠とした大きなビジョンを持ったこのテーマはごく真面目なものだということ。そして誰だって毎日何かに心躍らせたり、実際にステップを踏んだりしていたい、厳しい現実が立ち塞がっていても、病まない心と身体を持ってればきっと大丈夫ーーそんなうっすらと底にある気持ちに全面的に“YES”と言ってくれるバンドだということ、それが感銘を受けた大きな理由だ。その細部に宿る音楽的、ライブ的な理由を紐解いていこうと思う。

 今年は3月にメジャー1stアルバム『!magination』をリリースしたものの新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、5月の東名阪ツアー、6月の東京追加公演が延期。しかしバンドは多作だった。5月に「光はわたしのなか」、7月に「エモめの夏」と「太陽」、10月に「夜とシンセサイザー」という、2020年に多くの人が経験したマインドを投影した楽曲をリリース。まず、そのリアルタイム性が12月11日に行われた『2020 Dancers FINAL』のセットリストに反映されたと思う。

 ここからは初見の立場でラッキリのライブのユニークネスを(驚きというべきかもしれないが)挙げていきたい。まず、会場の恵比寿ガーデンホールには椅子が設置されていたが、お構いなしにみんな踊る。もちろん発声は禁止、自分のスペースを守ってという条件は守りながらも、かなり激しく。「Drawing!」の4つ打ちが鳴り響くと続々立ち上がり、体を揺らし、サビ前のクラップもパワフルだ。ダンス系のフェスなら当然の情景だが、それらは非日常、現実逃避の色合いが強い。だが、ラッキリのライブではノンアルコールでジャンプし、踊る。踊ることそのものが自分をハイにしてくれることを分かっているし、この場所では誰も自分がどう思われているかなんて気にしなくていい。

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 しかも踊れるBPM125(「HOUSE」の歌詞にもある)前後をキープしながら、ビートの種類は多彩だし、曲構成もいくつかに分けられ、1曲の尺が短いせいもあって、思い切り踊りたい曲、ゆらゆら揺れてカームダウンしながら、より歌詞にフォーカスしてリズムをとるぐらいのノリで楽しめる幅の広さもいい。だが、やはりライブでは思い切り踊れることがラッキリの魅力と見受けられ、この日が金曜であることを想起させる熊木幸丸(Vo)のMCから雪崩れ込んだ「Burning Friday Night」、大瀧真央のシンセリフがフワフワとステップを軽くさせる日常感たっぷりの「350ml Galaxy」、ハウスビートと家のダブルミーニングでお馴染みの「HOUSE」は生の熱気を孕んで、階段状の客席は実際揺れるほどサビでジャンプする人の多いこと! ステージ近くの前方なんてソーシャルディスタンスは保たれてるものの、クラブ状態に近い。さらには音源よりぐっとカリプソ系のリズムやスチールパンの音色が立って、中盤以降はプリミティブなアフリカンビートと日本の土着音楽が混交したようなリズムに移行していく「太陽」で、都市のホールを架空のお祭り空間にワープさせてしまう。

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