THE YELLOW MONKEYがナゴヤドームに刻みつけたバンドの生き様 30周年ツアー初日公演の伝説を振り返る

THE YELLOW MONKEY ナゴヤドームレポ

 THE YELLOW MONKEYが、昨年12月から開催した初のドームツアー『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR』のなかから、初日・ナゴヤドーム公演のライブ映像を、9月5日に配信する。

 このツアーは、2016年に奇跡の再集結を果たしたTHE YELLOW MONKEY「シーズン2」の集大成として位置づけられたもの。12月のナゴヤドームを皮切りに、2020年2月の京セラドーム、4月の東京ドーム2daysという全4公演が組まれ、全公演まったく異なるセットリストで構成するというバンドにとって前代未聞のツアーになる予定だった。だが、新型コロナの感染拡大防止のため、残念ながら、東京ドーム2daysは中止。現時点では、それに替わる新規4公演が発表されている。

 そんな、バンドにとって重要な意味を持ったツアーの幕開けを飾ったナゴヤドーム公演は、THE YELLOW MONKEYが現メンバーで初めてライブを行なった結成記念日だった。同時に、2018年まで数々の伝説を残した企画ライブ『メカラ ウロコ』を開催してきた日ということもあり、そのステージでは、彼らの代表曲が惜しげもなく披露されたほか、一夜限りの『メカラ ウロコ』復活とも言えるようなコアな楽曲も織り込まれ、バンドの生き様を完璧なまでに刻みつけるライブになった。

 以下のテキストでは、9月5日の配信に先駆けて、THE YELLOW MONKEYが新たな伝説を打ち立てた12月28日のナゴヤドーム公演の模様を改めてレポートする。

 「1989年12月28日」という文字がスクリーンに映し出され、2019年12月28日までのカウントダウンでライブがはじまった。荘厳なSEが興奮を掻き立てるなか、菊地英昭(EMMA/  Gt)、菊地英二(ANNIE/Dr)、廣瀬洋一(HEESEY/Ba)に続き、最後に、吉井和哉(LOVIN/Vo・Gt)が、センターステージにせり上がるかたちで登場した。物憂げに歌い出したのは、1994年に発表された3rdアルバム『jaguar hard pain 1944-1994』でも1曲目に収録されているナンバー「SECOND CRY」だ。仄暗いステージに、吉井の細身のシルエットがくっきりと浮かび上がり、そこに優しくバンドサウンドが重なる。

 オープニングの静謐なムードは、続く「ROCK STAR」で一転した。疾走感溢れるビート。一気にヒートアップする会場の熱気。吉井がシャウトし、エマとヒーセがやんちゃに絡み合えば、後方のアニーの表情にも笑顔が浮かぶ。間髪入れず、「SPARK」へ。エネルギッシュなバンドの演奏に合わせて、3万5,000人が埋め尽くす広大なドーム空間を鮮やかなライティングが縦横無尽に駆け抜けていく。

 「今夜はTHE YELLOW MONKEY、30歳のバースデーになります。30歳のバースデーを名古屋で迎えられて幸せです」。吉井のあいさつを挟んで、いまや新たなライブアンセムへと成長した、躍動感あふれる「Balloon Balloon」、毒々しく危険な香りをまとった「A HENな飴玉」と、イエローモンキーの30年間を彩る楽曲が新旧問わず繰り広げられていく。今回のツアーの見どころのひとつだった、大小組み合わせた複数のLEDスクリーンに、真っ赤な閃光を映し出し、エマが弾くギターとリンクする演出からつないだ「球根」は圧巻だった。

 中盤はセンターステージへ移動した。「360°お客さんがいらっしゃいます」(吉井)。そう言って、4人は満員の客席を満足そうに見上げる。MCでは、最後にイエローモンキーの一員となったエマの正式加入のエピソードを明かし、「そんなエマさんが初めてイエローモンキーに書き下ろした曲を」という紹介から、エバーグリーンな「This Is For You」を披露。

 さらに、「イエローモンキー誕生の曲を聴いてください」と言って、吉井が初めてイエローモンキーで作った「LOVERS ON BACKSTREET」へと、バンドの歴史を辿るようにライブは進んだ。グラムロックの影響が色濃かった初期曲をノンストップでつないだ「Foxy Blue Love」と「SLEEPLESS IMAGINATION」では、メンバー同士の距離感も近い小さなステージということもあり、4人は何度もアイコンタクトを重ねては笑い合いながら演奏していた。そして、2004年の解散から十数年を経て、その絆が途切れないまま現在に至ったという彼らが再集結後に発表し、いまや新たな代表曲のひとつとなった「I don’t know」へとつないだ一連の流れに、イエローモンキーがこの4人でよかったと何度も思ってしまう。

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