THE YELLOW MONKEY、30周年ドームツアーで目撃した奇跡の瞬間

TYMドームツアーで目撃した奇跡の瞬間

 THE YELLOW MONKEYが2020年2月11日、京セラドーム大阪にて『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR』大阪公演を行った。結成30周年を迎えるバンドが、このタイミングで初のドームツアーを開催。解散から再集結を経たバンドは、直後の“バブル“が終われば、少しずつ人気は安定していくことも少なくないが、THE YELLOW MONKEYに限ってはまったくそういうことがない。再集結後にリリースされた19年ぶりのアルバム『9999』の出来も素晴らしかったし、つくづく末恐ろしいバンドだなあ、と思う。

THE YELLOW MONKEY

 この日のライブでは開演の少し前から、龍谷大学吹奏楽部の生演奏が披露された。「MY WAY」と「見てないようで見てる」が披露されて、会場はどこか温かい空気に包まれる。と、すぐにそのまま会場は暗転。やがて、メインのステージにTHE YELLOW MONKEYのメンバーが現れて、間髪入れずにそのまま楽曲の披露へ。冒頭で披露された曲は、昨年12月28日に開催されたナゴヤドーム公演とは異なるものだった。この日はメジャーデビュー曲である「Romantist Taste」からライブが始まったのだ。早速この歌で、会場のボルテージは青天井となる。そこから「楽園」「ROCK STAR」「Balloon Balloon」などキャリアを横断するように様々な時代の楽曲が披露されていく。30周年というタイミングにぴったりな集大成的なセットリストだ。

 それにしても、こうやって連続してTHE YELLOW MONKEYの楽曲を聴いていると、このバンドの“面白さ”を痛感する。THE YELLOW MONKEYという名前をバンド名にしていることもあり、元々は洋楽ロックへの憧憬と、日本人がロックをするというある種のコンプレックスが内在しているバンドだ。そのため、楽曲には常に自分たちの好きな洋楽ロックとの折り合いの付け方みたいなものがにじみ出ている。そして、それは時代ごとに変わっているように感じるのだ。

 初期の楽曲は、素直に自分たちが憧れている洋楽ロックをストレートに音にした爽快さを覚える。しかし、キャリアを積んでいく中で、どのような曲を作れば、よりバンドとしての結果を出すことができるのか、といった苦悩が感じられて、その「揺らぎ」にこそ、THE YELLOW MONKEYらしさが宿っているように感じられて面白いのである。個人的にライブ中にぐっときたのは“生命”について歌う「球根」だった。ボーカルとサウンドの重厚さが壮大なテーマを表現した同曲に説得力をもたらしていた。紆余曲折のキャリアを重ねたTHE YELLOW MONKEYだからこそ為せる技だと思う。

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