Creepy Nuts×菅田将暉「サントラ」で描かれた両者の生き様 “表現”に賭ける共通項などから楽曲を分析

 脳も含めた身体性の限界への挑戦。そして伝説になるにはもう遅いのかもしれないと思いながら、まだ見たことのない自分を見るために、己を使って実験するーー特にR-指定と菅田には、あらかじめ定められたジャンルなり表現から逸脱していく、良い意味での危なっかしさを感じるのだ。

 それを日常になじませるように扉をガラガラと開ける音や菅田の笑い声を挟んだり、サビでジャンプアップするように痛快なディストーションギターを鳴らし、さらにはギターソロとスクラッチを重ね、落ちサビはR-指定と菅田に歌わせるというボーカルディレクションで、対角線にいた2人を今ここで出会わせるーーDJ松永の曲作りとアレンジのなんと優しいことか。これは単に話題のコラボレーションではない。今の20代男性にとって、そして形のないものを生み出す者にとってハードコアな賛歌なのだ。

■石角友香
フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Qetic」「SPiCE」「Skream!」「PMC」などで執筆。音楽以外にカルチャー系やライフスタイル系の取材・執筆も行う。

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