菅田将暉の音楽に対する初期衝動が蘇るーー初ツアー映像に収められた“ライブ”に魅了される瞬間

 現在、5月31日までの期間限定で菅田将暉の1stライブツアーの模様が公開中だ。これまでに行われた2018年秋の一夜限りのライブ、さらに2019年夏のツアーはそれぞれ単独でソフト化もされているが、今回の『菅田将暉 Premium 1st TOUR 2018』については、2018年のシングル曲「ロングホープ・フィリア」の初回盤特典として収録されていたもので、今となっては貴重な、2年前の1stライブの模様が“Song selection”と題して公開されている。

菅田将暉『LOVE』

 ちなみにこのライブ当時、菅田はドラマ『トドメの接吻』(日本テレビ系)で謎に満ちたストリートミュージシャン役を演じており、「さよならエレジー」は同ドラマの主題歌となっていた。そんな同曲からスタートする本映像は、長髪でYシャツにネクタイという出で立ちで登場する菅田に、まず間違いなく目を奪われる。ファッションも常に注目されている存在だが、この時はこういうスタイルだったのか……と誰もが少し驚くことだろう。そして大歓声の中、渋谷WWW Xのステージに立ち、歌い、汗をほとばしらせながら踊り、時にギターも弾く菅田将暉の初々しさときらめきは、この時にしかない、まさに“プレミアム”なものだったとよくわかる。

 ちなみにこのコロナ状況下で、“ステイホーム”が全国的に提唱されるなか“うたつなぎ”なる企画がインターネット上でバトンという形で流行した。その際、菅田はBRAHMANのTOSHI-LOWからバトンを受け「今夜」を弾き語りでカバーしたことも、まだ記憶に新しい。そんなBRAHMAN「今夜」を初めてカバーしたのがこのライブだった。公開中の映像のなかにも収録されているので、ここはぜひともロックバンドファンにも、菅田将暉のライブ映像をチェックしておいて損はないですよと、声を大にしてお伝えしたいところだ。

 また、アンコールには菅田自身が作詞作曲した「ゆらゆら」も披露されているが、今あらためて観るとこれは彼なりのフォークソングなのかもしれないと気づかされた。この映像に収録された8曲には入っていないものの、実際はフジファブリック「茜色の夕日」や吉田拓郎「今日までそして明日から」など、菅田自身が影響を受けていると公言してきた楽曲をカバーしている。「ゆらゆら」は、それら不朽の名曲と並ぶようなフォーキーさを兼ね備えていたのだなと、今回あらためて映像を観たことで筆者も気づいた。

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