2020年上半期で躍進した新鋭バンドは? ハンブレッダーズ、Omoinotakeらシーンに活気与えた豊潤な音楽
ドラマストア
『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』や『MONSTER baSH』などの大型フェスの出演が決定しており、おそらくすべてが順当に開催されていたら、よりたくさんのロックファンに注目されていたように思うドラマストア。メロディ重視のキャッチーな楽曲が、老若男女問わず幅広い世代に刺さっている印象を受ける。トリッキーであることが重視されがちな若手バンドシーンにおいて、メロディそのものを重点的に勝負するその潔さがぐっとくるし、「ラブソングはいらない」をはじめ、洗練されたメロディラインが聴き手を魅了する。
SHE’S
おそらく、この上半期でもっとも認知度を拡大したバンドのひとつがSHE’Sだと思う。「Letter」は「あつまれ どうぶつの森 × Nintendo Switch Lite」2020春CM内で使用されたこともあり、たくさんの人の耳に留まった。優しくも芯の強さがある楽曲に胸をうたれたリスナーが多かったように思う。さらに「Higher」は春の選抜高等学校野球大会の「第92回センバツ MBS公式テーマソング」にも決まっていた。結果的に中止になってしまったけれども、彼らの音楽が自分の生活の中に入ってきているリスナーが増えていることは間違いない。他にもタイアップに対して「これぞ」と言えるような求心力の高い楽曲をリリースできているところが彼らの強さ。下半期もその一挙手一投足から目が離せられないバンドである。
マカロニえんぴつ
単純に『hope』が名盤だったマカロニえんぴつ。彼らの場合、音楽の刺さり方がリスナーによって違うところが大きな特徴である。例えば、どこか懐かしさを感じるサウンドにぐっとくるリスナーもいれば、柔らかい乙女心を撃ち抜くような赤裸々なポエトリーに共感するリスナーもいる。キャッチーかと思えば、クセの強い楽曲も多いし、簡単に「こういうバンド」と語らせてくれない奥深さがあるのだ。その奥深さの一端に触れて、彼らの音楽にハマったリスナーがたくさんいたように思う。「レモンパイ」や「ブルーベリー・ナイツ」など彼らの代表曲が詰まった『hope』はそういう入り口としてもぴったりのアルバムだった。この先、よりアグレッシブなチャレンジを行い、より間口の広い音楽を提示していくことになるだろう。つまりは、この先も彼らの躍進がとどまることはない。そのように感じるのである。
ライブができない中でも存在感を明確に示したバンドも多い。明るい話題が少なかった2020年上半期だが、音楽作品は豊作だったように思う。ここで紹介したバンドはきっと下半期も存在感を示すだろうし、これからもその動きに注目していきたい。
■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。