2020年上半期で躍進した新鋭バンドは? ハンブレッダーズ、Omoinotakeらシーンに活気与えた豊潤な音楽
2020年も半分が終わろうとしている。今年はコロナの影響により、様々な形でイレギュラーが続くわけだが、それでもたくさんのバンドやアーティストが意欲的な作品をリリースしてきた。そこで本稿では、筆者が上半期に大きく躍進したように感じるバンドをいくつか紹介していきたい。
ハンブレッダーズ
<トイズファクトリー>から満を持してのメジャーデビューとなったハンブレッダーズ。そのタイミングでリリースされたアルバム『ユースレスマシン』は、インディーズ時代に培った彼らの魅力がたっぷりと詰まっている。マイノリティーに光を当てるような眼差しと、ストレートでシンプルなエイトビートなギターロックが彼らの持ち味だと思うが、そういう彼らだからこそのロックが『ユースレスマシン』には詰まっていた。極めつけは、コロナ渦中に発表された「ライブハウスで会おうぜ」。現在進行系で、ライブハウスで切磋琢磨してきているバンドであり、常にマイノリティ側の視点で歌ってきたバンドだからこその突き刺す一曲。きっとこの歌が紡ぐメッセージに痺れたバンド好きも多かったように思うのだ。
Omoinotake
上半期は立て続けに新作をリリースしたOmoinotake。2月19日にミニアルバム『モラトリアム』をリリースし、4月からは3カ月連続リリースとして「欠伸」と「One Day」も発表している。しかも、どの曲も色が違うのだ。「One Day」はキーボードの音色が印象的なカラフルでダンサンブルなナンバーである。「モラトリアム」もキーボードの音色がベースにあるが、それ以上にハイトーンで透き通ったボーカルが印象的なドラマチックなバラードに仕上がっている。この引き出しの多さがOmoinotakeの魅力のひとつ。島根出身のキーボードバンドということで、Official髭男dismと比較されることも多いが、打ち出した音楽性はOfficial髭男dismとはまた異なることを明確に示したこの上半期。おそらく彼らの音楽の虜になったリスナーも多いように思う。