堂本光一、『Endless SHOCK』公演中止を受けた一連の活動を振り返る インスタライブなどから伝わる舞台への思い
有事の際にこそ分かる人柄
2015年に、機材トラブルによる事故が起きて負傷者が出たときのこと。当日の舞台は中止となったが、翌日には幕が開き、公演は続いた。「翌日から開けるべき」と伝えたのは堂本本人だったと、のちに自身の連載で克明に綴った。
この一件に対し、「今回でいえば『前をむいて、進んでいかなきゃいけない』ことの大切さは、悔しいですがたくさん学びました」と明かした(『日経エンタテインメント!』2015年7月号より)。「Show must go on」とは簡単に使える言葉ではあるが、座長の想いや覚悟だけでは務まらないことは、丁寧に綴られた文面を通して学んだものだ。
今回、新型コロナによる舞台中止を受けて、何かできないかと模索した堂本。公式ブログにはルールについて綴った回があったが、珍しく文面から憤りのようなものを感じた。
公演中止から12日目の3月10日。堂本は共演者を集めて、帝国劇場からInstagramのライブ配信を行った。「こんな世の中ですけれども、せっかくのインスタライブ……やっと許可がおりたので楽しくゆるくできればいいかな」と、どこか慣れない様子も見せた。
配信では、いま何ができるのかを考えている、という旨を語った堂本。劇場でしか購入できなかったグッズの通信販売、3月21日には『緊急生放送!FNS音楽特別番組 春は必ず来る』(フジテレビ系)に『Endress SHOCK』の演目をテレビ向けに切り出して披露した。そして2時間に及ぶライブ配信と、これまでにないアプローチでファンと同じ時間を過ごしてくれた。
『RIDE ON TIME』の最後、舞台に立てないことの苦しさを語った。「何が正しいかってこういうときって正直あまりわからない部分もあると思うんですよね。だけど、自分が正しいなって思ったことに関しては、しっかりとそれを実行していくこのは大事なのかなとは思うので。それが決して独りよがりな考え方ではなく、こんな時だからみんなで考えようよ、って。もちろん再開を願ってますし」。
続けて、「何よりもね、いまもなお感染されて苦しんでいる方もいらっしゃるので」と患者の健康を願い、「世の中が平和になって欲しいな」「(『SHOCK』には)何か躓いたときにまた一歩踏み出したときに、また走りだせるんだっていうようなテーマがありますけど、なんかエンタテインメントという存在がそういうものであってくれたらいいなと思いますけどね」と、いまの想いを語った。
有事の際にこそ人柄が露呈するものだが、エンターテイナーとして、カンパニーの人生を背負う座長として、一人の人間として……堂本の今回の一連の判断・決断力、行動力、あらゆる人を想う姿勢と想像力、これは舞台に限らず、何においても通用するのではないか。
「ライブやったってファンに対してサービスしないですからね。ファンの中ではよく言われているファンサービスですか、ファンサービスを全くしないタイプなので……」
番組冒頭で語った言葉の意味は、単純に手を振ったり笑顔をせみたり、ということではなく、「また観たい」と思ってもらえるステージを作ることが何よりのファンサービスだと考えるから。言葉に込められ、姿勢となって表れる熱い想いに、もっと観たい、もっと知りたいと惹きつけられるのだった。
■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。