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ビリー・アイリッシュ、なぜ“普段着”でステージに? 女性アーティストによる衣装の変革

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 ステージに立つビリー・アイリッシュを思い浮かべてみてほしい。大方そのイメージ図が身に纏っているのはTシャツやフーディー、はたまた月野うさぎがプリントされたセットアップか。いずれにせよステージ衣装らしい服装ではないだろう。

Billie Eilish – bury a friend – Live at Coachella 2019 Saturday April 13, 2019 (2.35:1)

 ビヨンセのような布面積の少ないレオタード、テイラー・スウィフトが着ていたスパンコールの施されたドレス、アリアナ・グランデのとびきりガーリーなミニ丈サーキュラーワンピース。それらをビリー・アイリッシュが纏う姿をイメージしようとしてもなかなか脳が像を結ばない。ビリー・アイリッシュはレオタードもスパンコールもワンピースも着ない、スウェット地の普段着でステージに上がる新しい女性ソロアーティストだ。

 この記事では、ビリー・アイリッシュが衣装らしい衣装を纏わずステージに上がることを通して浮かび上がらせたものについて、その背景や世のリアクションに触れながら考えていく。

“セクシー”という第一党

 大雑把なカテゴライズにどれだけの意味があろうかというのはあるが、最低限の整理のために女性ソロアーティストの衣装パターンをいくつか挙げてみる。

 真っ先に思い浮かぶのはいわゆるディーバ的なもの。これが一番多いパターンだろう。ドレスやレオタードをベースにしたきらびやかな衣装だ。ビヨンセやリアーナ、カーディ・Bなど、ボディラインや肌の露出を強調し、女性の身体のフォルムにフォーカスしたセクシーなものが目立つ。

 もう1つのパターンは、ビョークやレディー・ガガなどに見られるような、衣服よりも舞台装置寄りの、アート作品としてのアティチュードやコンセプトを色濃く感じられるもの。こうした”アート”寄りの衣装が(意図したものかはさておき)”セクシー”な衣装へのアンチテーゼとしての役割を担ってきた面は少なからずあるのではないかと想像する。

 第3のパターンを挙げるとするなら、歴代フィメールラッパーたちのストリート系ブランドで固めた装いや、エイミー・ワインハウスがソウルの諸先輩方へのR-E-S-P-E-C-Tを示すように鬼盛りした髪、ロードのゴススタイルなど、特定のクラスタの伝統に根ざしたもの。

 だいたいこんなところか。どのパターンにせよ、アーティストのファンダムの規模にそぐう、きらびやかな衣装が用意されるのが常だ。アーティストの活躍規模が拡大していくにつれ、プロモーション、セット、衣装とさまざまな面で投資がなされるのは自然なことで、もしステージ衣装を着ずに普段着でステージに上がろうとするならば、それはどうにも貧乏くさく、ショウマンシップに欠けた姿勢に映りかねない。そこには特別な意味が生まれるわけだ。それなりに”あえて”の意味付けがなされない限り、先に挙げたような強固なファンダムを持つアーティストたちが街中で買い求められるようなカジュアルウェアでステージに立つことはないだろう。

 その”あえて”の意味づけがなされている好例が”Beychella”として親しまれているコーチェラでのパフォーマンス時に、ビヨンセが着用していたあの黄色のフーディーだ。

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 あれはBALMAIN(バルマン)というブランドのもので、ライブ冒頭で纏っていたボディスーツと同ブランド。単に同じブランドで固めたというだけでなく、ビヨンセのファングループ”BeyHive”を象徴する黄色であり、カジュアルなフーディーの形をとることでファンと同じ目線に立っていることを示す意図を推測できる。

 ちなみにボディスーツのほうにも興味深い意味付けがなされているのだけれど、本稿では言及を割愛する。気になったら調べてみてほしい。

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