けやき坂46が見つけた自分たちの”色” 3日間に渡る武道館公演を機に紐解く

けやき坂46が見つけた”色”

 けやき坂46の日本武道館3日間公演が1月30日から2月1日に渡って行われた。

 けやき坂46は、昨年の12月に幕張イベントホールで全国ツアー最終日のライブを行ってから1カ月ほどしか経っていないうえに、当初は欅坂46と日程を分担する予定だったのが、急遽3日間通しての公演に変更されたのにも関わらず、3日間とも会場は満席。武道館の八角形の作りは観客の熱気を中央に集中させる特殊な構造で、現場にはこの緊急事態をファン側からも支えようという一体感で充満していた。「OVERTURE」が流れ始めると舞台上のスクリーンにはメンバー一人ひとりの紹介映像が流れ、最後に”It’s show time!”の文字が映し出される。1曲目「ひらがなけやき」が始まると会場は待ってましたとばかりに湧き立った。

”サーカスチック”な演出

 2曲目の「二人セゾン」では、中盤の見せ場で1期生10人が下段で踊ると同時に上段で井口眞緒がソロダンスを見せるなど、ステージを活かした演出が目立った。このように今回の公演はメンバーも自ら”サーカスチック”と表現するように、武道館の円形の構造をあたかもサーカスのテントに見立てたかのようなコンセプトのもと、洋風の劇場のようなステージをカラフルに施した舞台美術だったり、着ぐるみを着たパフォーマーやダンサーが登場したり、ヨーヨーなどの大道芸、さらには曲の魅せ方にもそうしたテーマに合わせたこただりを感じ取れるものだった。

 たとえば、MC中にもBGMが流れたりする。普通は無音のなかでメンバーが会話するものだが、ジャズ風のピアノ曲がバックで流れることで会場はショーの真っ最中といった雰囲気に包まれていた。また、クールなダンスが魅力の「語るなら未来を…」では暗い照明にさらに白い煙を立てることであえて視界を悪くさせ、その中で上段と下段でメンバーのダンスとそのシルエット映像を次々に入れ替える、まるでマジックのような演出で観客を驚かせていた。「永遠の白線」が始まる前には学校のチャイムのSEが流れ、曲が始まると歌詞に登場する<野球部の補欠たち>に扮したダンサーたちがトレーニングする様子を再現。間奏ではメンバーがバットを持って観客へ向かってノックをした。ライブでの十八番「誰よりも高く跳べ!」では、佐々木久美がワイヤーに吊るされて文字通り誰よりも高く飛んだ。会場の誰もがその光景を見て笑顔になったことだろう。

 こうした細かい工夫やアイデアが単なる歌詞の再現という目的にとどまらず、”ファンを楽しませたい”、”ハッピーオーラを届けたい”という思いをもとに発揮されているのが彼女たちのライブが好評である理由の一つなのだろう。

2期生の迫力

 昨年加入したばかりの2期生は出番は少なかったものの、乃木坂46の代表曲を3日間を通して3つカバーし会場を大いに湧かせていた。特に最終日の「制服とマネキン」において、センターを務めた渡邉美穂や河田陽菜、小坂菜緒といったメンバーたちが絶妙な表情でパフォーマンスしていたのは印象的だった。普通ならクールに決める曲を、アスリートがゾーンに入ったときのような微かに笑みを含んだどこか余裕のある表情で踊る彼女たちにただならぬ魅力を感じた。

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