DEZERTはV系シーンを牽引する存在に? 多くの先輩からも愛される“媚びない”魅力
いい曲が生まれたら発表するというスタンスと同じく、DEZERTのライブは本能的だ(特に千秋が)。同ツアー初日の恵比寿リキッドルームでは千秋がSacchanのベースにいきなりペットボトルの水をかけ、見ている方が焦ったり、ステージからいきなり消えて戻ってきたと思ったら、Miyakoのギターを取り上げて弾いてみたりと、自由奔放。「柵乗り越えて来い!」と後ろのオーディエンスを挑発するも、自分からフロアに降り、設置してあった前方の柵を引き抜いて、フロア中央の柵の上に登って歌った時には半ば呆然とした。そんな千秋の読めない行動に動じることなく、ヘビィ且つ抜けのいい音を響かせるMiyako、Sacchang、SORAの楽器陣も肝が座っている。
次の瞬間何が起こるかわからないスリルと、時に強引なやり方で押さえ込んでいたものを観客に吐き出させるステージ。アクの強さや闇と癒しが同居しているような中毒性のある楽曲も彼らの魅力である。
DEZERTが多くのファンの心をつかみ、上の世代にとっても気になる存在なのは、彼らが本来ロックが持っていたような“やばさ”と、瞬間を生きることに対峙するパワーを持っているバンドだからなのではないだろうか。
なお、彼らは12月16日を皮切りに12月26日の渋谷CLUB QUATTROまで4公演のショートツアー『毎年恒例!年末特番~くるくるまわる~今年は四回転!』を開催。2018年も読めない活躍をしてくれるに違いない。
(写真=西槇太一)
■山本弘子
音楽ライター。10代の時にパンクロック、グラムロック、ブルースに衝撃を受け、いまに至る。音楽がないと充電切れ状態に陥る。現在、Webサイト、音楽雑誌などで執筆中。