>  > アイドルフェスのキーマンが考える課題

『アイドルLOUNGE』オフイベント第一回対談レポート

“アイドルフェス”ビジネスの拡大が生んだ成果と課題ーー『TIF』『@JAM』のキーマンが考える

関連タグ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 今夏、“アイドル2大フェス”と言われる『TOKYO IDOL FESTIVAL 2016』(以降『TIF』)と『@JAM×ナタリー EXPO 2016』(以降『@JAM EXPO』)はそれぞれ日数の拡大開催を果たした。お台場・青海周辺エリアにて3日間行われた『TIF』は、7.6万人を動員し「音楽フェス動員数ランキングTOP10」にランクインしており(『日経エンタテインメント!2016年12月号』(日経BP)より)、また『@JAM EXPO』は横浜アリーナから幕張メッセへ会場を移し、初めての2日間開催。ロックバンドやアーティストも交えたフェスとして、シリーズ過去最高の2.5万人の動員を果たしている。

 『TIF』と『@JAM EXPO』が開催されたこの夏、オンラインサロン『DMM Lounge』内に『アイドルLOUNGE』が開設された。『アイドルLOUNGE』は濵田俊也氏(『TIF』前総合プロデューサー)がコーディネーターを務め、アイドルシーンに関心の高い参加者が集まり、日々アイドルにまつわる話題が投稿されており、さらに10月18日には『2016夏のアイドルシーンを振り返る』と題したオフイベントの第一回が開催された。ゲストには『@JAM』総合プロデューサーである橋元恵一氏を迎え、フェスにまつわる話はもちろんのこと、現在のアイドルシーンや今後の展開についてのトークも展開された。(編集部)

「アイドル業界はまだまだ伸びているというのを見せたかった」(濵田)

20161114-lounge1.JPG

 

濵田俊也(以下、濵田):そもそも、橋元さんとの出会いはいつでしたっけ?

橋元恵一(以下、橋元):2012年に、フジテレビのアイドルのツアーをうちの会社(Zeppライブ)で制作を受けるかもしれないという話があって。その時に、お会いしたのが最初でした。ライブ制作は結局叶わなかったのですが、それがきっかけで仲良くなったというのを記憶してますね。

濵田:その頃にはもう『@JAM』は始められていたんでしたっけ?

橋元:2010年より始めはしていましたが、今の規模感ではなかったですね。

濵田:僕は『TIF』の運営プロデューサーを経て、2015年に『TOKYO IDOL PROJECT』(以降『TIP』)を立ち上げて『TIF』の総合プロデューサーになりました。その際、橋元さんにご説明に行って、そこからさらにより深くお話をさせて頂くようになったんですよね。定期的にイベントを開催する『TIP』が始まった時、『@JAM』的には正直嫌だったんじゃないですか?

橋元:そんなことないですけど(笑)。「本気出してきたな」とは思いましたね。

濵田:『@JAM』がすでにいろいろ取り組まれているところに後から続くという形が、嫌だったんですよ。そして、その時には、すでに『アイドル横丁』も『アイドル甲子園』もスタートされていたので、夏の『TIF』だけじゃなく年間を通じてイベントをやっていくという話をするのが、邪魔する感じで……アイドルイベントってどう思われてるんですかね。各社、仲悪いとか思われていたり……?(笑)。

橋元:一般の方はそういう印象があるかもしれないですね。

濵田:実際には各イベンター同士がものすごく仲良くしていますよね。そして、特に『@JAM』を僕らはリスペクトしているということで、今回『アイドル LOUNGE』が橋元さんをお呼びしたわけです。シーンで抱えてる問題をみんなで乗り越えていかなければと思っていますので。さて、今日は「2016年のアイドルシーンを振り返る」といったテーマでお越し頂いていますが、橋元さんは現在のアイドルシーンをどう考えておられますか?

橋元:アイドルシーンは過渡期に入り始めて、少しずつシュリンクしているような気がします。2010年から2012年にデビューしたアイドルグループが日本武道館を目指し、成功したりしなかったりという状況が続きましたが、それ以降のグループは現在Zeppクラスを目指してますよね。武道館を目指していた頃と比べて、単純に会場の規模が2分の1、3分の1になっている中、『TIF』は3日間開催。『@JAM EXPO』も2日、『アイドル横丁』も2日に拡大していった。そこに関してはなぜか逆転現象が起きていますよね。『TIF』はなぜ3日間開催にしたのですか?

濵田:アイドル業界はまだまだ伸びているというのを見せたかった部分はありますね。3日開催は正直リスキーな選択だったんですけど、良い意味でのインパクトは与えられるだろうと思ったんです。

橋元:うちが横浜アリーナで『@JAM EXPO』を始めたきっかけも、2013年に『TIF』がなくなったらアイドルの火が消えてしまうと思い、『@JAM EXPO』という形で立候補しました。結局、『TIF』も続けることになって、“2大フェス”と言っていただけるようになったのはよかったと思っていますが、『@JAM EXPO』も採算が取れているわけではなくて。初年度も昨年度も色々な事情があり、1日のみの開催になったんです。今年は横浜アリーナが半年間改修だったこともあり使えませんでした。そんなとき「幕張メッセが使えます」と言われましたが、制作費が例年の約1.5倍はかかるので、1日でペイするのは不可能だと分かり、2日間開催にしたんです。それでも過去にないくらい赤字を出しました……小さい会社なら2社ぐらい飛ぶんじゃないかというくらい……。

濵田:『TIF』は放送配信費用をいれなければ収支はプラスマイナスゼロに近いです。しかし、放送・配信プラットフォームに力を入れているからこそ、アイドルのみなさんが出てくださっているところが大きい。だからやめるわけにはいかなくて、とても厳しい状況です。

橋元:それでもフジテレビが開催しているというのは、自分たちの気概や自負とムーブメントでコンテンツを作っていくということじゃないですか。その心意気を見せられると『@JAM EXPO』だけ、「今年は辞めます」みたいなことはもう言えないですよ(笑)

濵田:そんなこと言うのはやめてください……(笑)。今年は『TIF』も『@JAM EXPO』も例年よりお客様は多く、出来合いとしては良かったかなと思いますけど、点数を付けるとしたら何点を付けますかね?

橋元:『@JAM EXPO』は40点くらいですかね。

濵田:えー! 厳しい。

橋元:自分の中ではファッションショーがやれたとか、バンドを呼んだとかコンテンツへの満足度もあるのですが、警備や音の問題だったりで、ユーザーの満足点はそんなに取れなかったと思っています。バンド枠などコンテンツの作り方は「いける!」と思ったんですけど、思いとは裏腹に集客状況はいまひとつでしたね。

濵田:こうすればよかったという点はありますか?

橋元:ステージ間の音の被りの問題は黒いカーテンを引くことで解消されるのですが、隣のステージで何をやっているか観たい、そっちに行きたいという状況を作りたかったので、今回はあえて行いませんでした。ですが、それが逆に「アイドルは音がこんなに被っても許されるのか」という捉えかたをされてしまったのは大きな反省点ですね。

濵田:僕は移動しやすかったのでよかったと思いましたよ。『TIF』が移動しにくい、というのもありますが。

橋元:あそこでは自転車を貸し出した方がいいと思います(笑)。『TIF』はどうですか?

濵田:『TIF』は最終的に70点くらいですかね。お客さんの満足度はネットなどで寄せられた意見を見るとわりかし好印象だったので50点、僕としてはどんな形であれ続けることが一番だと思うので開催できていることで50点、合わせて100点です。で、お客さんとアイドルのみなさんにかなり負担をかけてしまったこと。例えば、船の科学館の駐車場エリアに設営したSHIP STAGEは、予算の関係上屋根が付けられなかったですし、例えばZepp Tokyoをお借りしたり、もともとある施設を使ってステージを増やすべきだったと考えています。安全面についても、警備を重視せざるを得ない状況が続いたのは事実です。これらでマイナス30点というわけです。

橋元:僕個人の感想ですが、『TIF』は『アイドル横丁』や『アイドル甲子園』とのコラボステージがタイムテーブルの中に組み込まれていて、様々な運営・企業が一緒に頑張っている見え方になっていたのが、とても良かったと思いますね。

濵田:アイドルフェスはいろんなパートナーと組んでいるという部分が見せられたと思いますし、それは『@JAM EXPO』にも感じられたことです。ほかに振り返ってよかった点としては初出演のアイドルが多かったことですね。全体の50%である約150組を初出演のアイドルとしたので、例えば各地のアイドルが地元に持ち帰って、「『TIF』に出たよ」ということが、雰囲気が口伝えされていくといいなと思っています。とはいえ、出演時間が短かったり、1日1回しか出れないアイドルもいたのですが……。 『TIF』と『@JAM EXPO』の違いについても話したいのですが、大きな差としては、無料エリアの有無だと思います。『@JAM』で無料エリアを設定される予定はありますか?

橋元:Zepp DiverCity(TOKYO)で開催した『@JAM 2013』では、ガンダム立像の前に特設ステージを作ってライブをしていました。『@JAM EXPO』では横浜アリーナや幕張メッセという場所自体、外で音を出せないという事情があるので、物理的に難しいですね。

濵田:『TIF』は初めからアイドルの博覧会だと思っていて、観てもらうチャンスが多くないと何もならないと考えているので、まずは「どこを無料にするか」という議論から進めます。一方で、無料エリアは多くのお客さんを集めるものの、暴れる方も必ずついてきます。

橋元:有料エリアでも必ず暴れるお客さんはいますよ(苦笑)。オムニバスのイベントをやっている以上は、そういう方が現れてしまうのは必然だと思います。今年の『TIF』は大きなトラブルってありました?

濵田:『TIF』は警察の方が来てますね。

橋元:それを言ったらうちもそうですよ。初っ端の入場時にそういうトラブルが起きちゃったので僕は真っ青でした。

濵田:『TIF』については強力な警備会社もいないといけないくらいでした。

橋元:ジャンプ・リフトは禁止にしていましたよね。

濵田:『TIP』で放送している有料チャンネルの投票で、「有料エリアだけにする、無料エリアを残す」という質問をすると「無料エリアはいらない。有料エリアだけにする」という回答にたくさんの票が入るんですよ。お金を払ってる人は、ちゃんと観たいから無料エリアは嫌だと。そうしても有料エリアで暴れるお客さんが出るかもしれませんし、結局どうすればいいのかと度々議論になります。

橋元:『@JAM』関連のイベントでアップアップガールズ(仮)とBELLRING 少女ハートの2マン(『DOUBLE COLOR session12』)をやった時のことが参考になるかもしれません。センターに柵を作って、暴れていいエリア(笑)、観てほしいエリアと2つに分けたんですけど、客層のバランスがすごい良かったんです。暴れていいエリアではアプガとベルハーのファンが肩組んで楽しそうに盛り上がっていました。

20161114-lounge2.JPG

 

      

「“アイドルフェス”ビジネスの拡大が生んだ成果と課題ーー『TIF』『@JAM』のキーマンが考える」のページです。>の最新ニュースで音楽シーンをもっと楽しく!「リアルサウンド」は、音楽とホンネで向き合う人たちのための、音楽・アーティスト情報、作品レビューの総合サイトです。

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版