“アイドルフェス”ビジネスの拡大が生んだ成果と課題ーー『TIF』『＠JAM』のキーマンが考える

「こんなイベントができるんだという期待を持ってもらいたい」（橋元）

濵田：勉強になります。ありがとうございます。VIPチケットはいかがでしたか？　『＠JAM』のVIPチケットはかなり定番化した印象ですが。

橋元：僕らもVIPチケットを導入した初年度は、200人のお客さんに僕が会場で詰め寄られるなど、クレームが多発しました。それでも1つずつお話を聞いて改善していったらよくなったのですが、今年は入場時に強奪されるという……。

濵田：せっかく作った信頼関係が崩れるような事件があったんですね……ところで『TIF』や『@JAM EXPO』のほかにも、今年は例年に比べ特にアイドルフェスが多い年でしたが、なぜ拡大していったんでしょう。

橋元：使命感。というところではないですか。

濵田：アイドル業界は、そういった心意気で開催しているイベントが多いという印象です。

橋元：逆に多すぎちゃってどうなのか、という意見もありますよね。しっかり作り込んでいるイベントにアイドルのみなさんが出演したいと思うんですけど、そこまでアイデンティティのあるイベントを作っている会社は少ないのではないでしょうか。

濵田：あるお客さんが、例えば何らかの雑誌でアイドルを知りライブを観に行きたいと思ったとして、初めて行ったアイドルイベントが某イベントだったとしたらがっかりもしますし、そのグループにもシーンにも悪い影響を与えているような気がしています。

橋元：お客さんにも満員のフロアで一体となれる雰囲気含めて観て欲しいのですが、スカスカが当たり前のイベントが多くなってきているので、「混んでるから嫌だ」と逆の発想が生まれてしまう。アイドルは一人でも多くのお客さんの前でライブをしたいはずで、もう少し身の丈にあった会場で開催した方がいいと思いますけどね。

濵田：このままだとアイドルシーンが危ないと思います。普通は淘汰されていくんでしょうけど、イベントはどんどん増えちゃってますから。

橋元：アイドル運営のみなさんもどの様な判断基準でイベントに出るのか決めかねていると思います。その一方で『TIF』での「TIFメインステージ争奪LIVE」や『@JAM EXPO』と『TIF』での「DMM.yellスペシャルステージ」など、勝ち上がることでフェスに出演することができるというものも増えました。これによりオープニングアクトやメインステージに出演できるというチャンスを作ってあげたいという使命感でやっています。

濵田：『TIF』や『@JAM EXPO』が出演したいと思ってもらえるフェスであるのならば、運営側が選ぶだけではなく、様々な出演への間口があるのが大事なんじゃないかと思います。その様なチャンスがあるというのがアドバンテージなんじゃないかなと。

橋元：ところで濵田さんは今後どういう形で動いていくんですか？

濵田：当面、アイドルシーンに対しては、この『アイドル LOUNGE』で何かお力添えができればと思っています。橋元さんのほうはどうでしょう？

橋元：夏のフェスが終わり、今年は冬にもお台場エリアにて『TOKYO IDOL PROJECT × @JAM ニューイヤープレミアムパーティー2017』を開催します。『TIP』と『＠JAM』が一緒になったらこんなイベントができるんだという期待を持ってもらいたいですし、出演アイドルにもそういうイベントがあるんだったら出てみたいというものを目指したい。この2社がやってだめだったら撤退しましょうというイベントになると思います（笑）。

濵田：すでに後任者に任せておりますが、僕は以前から大きなイベントを冬にやりたいと思っていたのに踏み込めない状況でしたから実現することになり本当に嬉しいです。

橋元：開催するかしないかで半年ほど話しましたもんね。お互いアイドルフェスをやっているので、冬は違うことをやった方がいいんじゃないかとか、そういうところから議論が始まりました。

濵田：発表も順次していて、券売も進んでいますよね。アイドルグループは絞り込んでますよね。

橋元：Zepp TokyoとZepp DiverCity、フジテレビの本社屋に特設のステージを作って、それぞれのステージに10組程度出演していただいて、30組を2日間というスケジュールで考えています。『TIP』と『＠JAM』で見立てた「2016年頑張った60組」を選ぼうという裏テーマでやっているので選ぶのはかなり大変なんですけど。あとは、妄想でアイドル神社というのを作りたくて。

濵田：アイドル神社はずっとやりたいと仰っていましたね（笑）。

橋元：お台場・青海周辺エリアはお参りするところが少ないので、Zeppもフジテレビもあるお台場にアイドルの聖地みたいなものを作って、絵馬を置いてアイドルが「今年は『TIF』に出られるように」とか参拝してくれたら面白いんじゃないかと。また今年、成人になります、という人に振袖を着てもらったり、餅つきがあったり。そういうお正月感が出せたらと考えています。

（取材・文＝渡辺彰浩）

ニューイヤープレミアムパーティー 2017
TOKYO IDOL FESTIVAL 2016
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