板谷由夏、永瀬廉との“凪のよう”な関係を明かす 令和に蘇った『東京タワー』の魅力とは
直木賞作家・江國香織が1999年から連載し、2001年に刊行された恋愛小説『東京タワー』。21歳の青年・小島透と、20歳以上年の離れた人妻・浅野詩史の禁断の恋は、日本中にセンセーションを巻き起こした。
そんな原作の設定を現代に置き換え、永瀬廉主演で連続ドラマ化されたオシドラサタデー『東京タワー』(テレビ朝日系)。相手役の詩史を演じるのは、NHK大河ドラマ『光る君へ』にも出演中の板谷由夏だ。
詩史について「人から見ると魔性だけれど、本人には魔性だという自覚はないと思う」と分析する板谷に、令和に蘇った『東京タワー』について聞いた。(編集部)
「詩史には魔性だという自覚はないと思う」
――撮影が進む中で手応えはいかがですか?
板谷由夏(以下、板谷):だいぶ現場にも慣れてきました。なんとなく彼女(詩史)の降ろし方は分かってきましたので、そういう意味では手応えを感じていて、迷いはないです。
――詩史はどのような女性だと思いますか?
板谷:原作小説とは少し違う気がしています。私が受け取った印象はすごく自立した女性。自立しているからこその寂しさがあって、女性が持つ“頑張っている部分“と“孤独感”とが同時にあると思いました。人に頼りたくないけれど、頼りたい時もあるというか……そんなふうに揺れるところがすごく現代を生きる女性らしいなと思いますね。
――詩史は建築事務所で働いていますが、原作小説のほうでは夫のスポンサーの下でセレクトショップをやっているので、自立度合いみたいなところは少し変化があるのかなと思いました。
板谷:江國香織さんが原作を書いた1990年代には、今の詩史みたいなことはまだなかったのかもしれません。ただ、今の詩史の方が現代の女性像には近い気がしますよね。自分でしっかり地に足をつけて、起業する女性も増えましたし、そういう意味でも(詩史像が)違うのかもしれません。
――詩史を演じるにあたり、原作小説から踏襲した部分、または大きく変えた部分があれば教えてください。
板谷:原作の中の詩史というものを手繰り寄せました。やっぱり自由さと、わがままさと、男の人を翻弄してしまう感じと、翻弄しているけれど「翻弄してなんかないわよ」という感じと。その辺がうまく絡み合っているのが詩史という感じがして。でも、私の周りにもああいう女の人はいる気がしますね。
――魔性の女というか。
板谷:人から見ると魔性だけれど、本人には魔性だという自覚はないと思うんです。実は、私自身も詩史を演じている分には悪いことをしている感じがあまりなくて。でも、それを板谷として見ると「詩史は全然悪いと思っていないな」と感じます。
――すごくリアルにその感覚を持っているんですね。
板谷: どうしてこんなセリフをさらっと言えちゃうんだろうと思うけれど、たぶんあんまり意識していないような気がします。でも拾ってしまうと「え、それ意識して言ってたんじゃないの?」というような無意識の怖さがあるんだけれど、彼女はたぶんそこは意識していない気がしますね。
――演じられているからこその視点だなと思いました。
板谷:いつも永瀬くんが「詩史さん、ひどい、ひどいね」って言うんです(笑)。私はひどいことを言っているつもりはありませんでしたが、この前ちょっと俯瞰したら、これはすごくひどいことを言っているなと。それで永瀬くんに「詩史ってひどいこと言ってるよね」とポロッっと言ったら、「え、今ですか!? いつもだよ」と言われてしまいました。それくらい私は気づいていませんでした。永瀬くんは「いつものことです」と言っていましたが(笑)。