『ブギウギ』困難を乗り越えスズ子が再びステージへ 小夜と米兵の関係性に進展も?

『ブギウギ』スズ子が再びステージへ

 さまざまなものが制限される戦時下で、スズ子(趣里)をはじめ誰もが我慢をしながら「日本が勝つだろう」という期待を寄せて乗り越えてきた。だが、時は1945年8月15日。昭和天皇による玉音放送で日本の敗戦が告げられる。悲しみに暮れる者、心のなかで安堵している者など、さまざまな感情が渦巻く中で、スズ子たちもこの先の日本がどうなっていくのか、愛する音楽をこの先も歌っていけるのかという心配事を抱きつつも、『ブギウギ』(NHK総合)第68話ではスズ子たちに良い知らせが届けられた。

 昭和20年(1945年)11月。スズ子は愛助(水上恒司)らと三鷹の自宅で質素ながらもささやかな幸せを噛み締めていた。東京大空襲で焼け野原になった東京の惨状を見せられた後では、スズ子と愛助が顔を合わせながら食事をしている姿を見られるだけでも幸せだ。そんな中で愛助は体調が回復しつつあり、スズ子に大学に復学することを伝える。「それがええわ」と笑顔でうなずいたスズ子は、復学のお祝いをするため闇市へと向かうのだった。

 「女、子どもは足元見られる」「米兵が女に悪さする」と心配する愛助だったが、スズ子はそんな心配をよそに堂々と闇市へと足を踏み入れる。闇市は戦前から国内では成立していたが、よく知られているのは太平洋戦争後の都市部で発生したものである。終戦後は政府による物資が底をついてしまっており、国民は十分な量の食料を確保できない状況になっていた。その中で闇市が至る所で発生し、非合法ながら戦後の国民生活を支えていたのだ。

 
 スズ子と小夜(富田望生)が向かった闇市は戦後とは思えないほどのにぎわいを見せていた。だが、愛助の予感は的中。相場よりも高値で米を売りつけられてしまい、結局購入する羽目に。お祝いをしようと意気込んだはいいものの、米、大根、醤油、油しか揃えることができなかった。だが、今はそれでも十分だ。そう思えるのは、道端でスズ子が見た飢えに苦しんでいる子どもたちがたくさんいるという現実だった。いつものスズ子であれば、自分を犠牲にして子どもたちに食料を分け与えていたかもしれない。しかし、それすらできないほど現実は厳しいものだった。そんな中で2人の米兵が子どもたちにチョコレートを配るというシーンが描かれたが、小夜のように慣れない英語で「ギブミーチョコレート」と言っておねだりするような光景は戦後日常だったようだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる