『死霊館のシスター』VS『名探偵ポアロ』軍配はどちらに? 思わぬ“ホラー対決”勃発

『名探偵ポアロ』最新作、北米首位ならず

 9月15~17日の北米映画興行収入ランキングは、思わぬ“ホラー対決”となった。9月18日未明に発表された速報値によれば、週末No.1は前週に続き『死霊館のシスター 呪いの秘密』。第2位は初登場の『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』だ。もっとも、週末興収の差はわずか23万ドル。数字が確定した段階で首位が入れ替わる可能性もある。

 第1位『死霊館のシスター 呪いの秘密』は、週末3日間で1473万ドルを稼ぎ出し、北米興収は5652万ドル。ホラー映画×人気シリーズ最新作ということで、2週目の下落率が大きくなりやすい種類の作品ではあったものの、前週比-54.8%と健闘した(2018年の前作『死霊館のシスター』は2週目の下落率が-66%だったのだ)。

『死霊館のシスター 呪いの秘密』©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 本作は海外市場でも予想以上の成績を示しており、海外72市場の興行収入が1億ドルを突破。世界累計興収は1億5882万ドルで、『死霊館』ユニバース作品としても随一の推移となっている。

 第2位『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』は、イギリスの名優ケネス・ブラナーが主演・監督を務める、アガサ・クリスティ原作『名探偵ポアロ』シリーズ最新作。『オリエント急行殺人事件』(2017年)、『ナイル殺人事件』(2022年)に続いて早くも3作目である。

 クリスティによる晩年の佳作『ハロウィーン・パーティー』を大胆に翻案した今回は、タイトルの通りイタリア・ベネチアを舞台に、おなじみエルキュール・ポアロが、降霊会の夜に起こった殺人事件に挑む。本作は犯人が人間なのか幽霊なのかさえ判然としない「スーパーナチュラルスリラー」で、作風もホラーテイストに振り切った。

『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 オープニング成績は1450万ドルとやや渋めだが、これは配給を担当する20世紀スタジオの予想通り。コロナ禍からの回復期に公開された前作『ナイル殺人事件』が初動成績1289万ドルだったから、きっちり前作超えを果たしている。ジェイミー・ドーナン、ミシェル・ヨー、ティナ・フェイといった実力者揃いのキャストが、ストライキのためプロモーションにほぼ参加できなかったことを鑑みれば、こちらもかなりの善戦と見るべきだろう。ブラナーは主演を兼ねているため、ストライキ後は取材に応じられていないのだ。

 製作費は6000万ドルで、前作の9000万ドルよりさらに抑えめ。海外興収は2270万ドル、世界累計興収は3720万ドルなので、劇場公開での黒字化も夢ではない(すなわち、シリーズの継続も大いにありうるということだ)。Rotten Tomatoesでは批評家スコア79%で、シリーズ史上最高の数値を記録。観客スコアは77%、出口調査に基づくCinemaScoreでも「B」評価と、観客からも一定の支持を受けている。

『イコライザー THE FINAL』

 そのほか、今週は第3位に『イコライザー THE FINAL』、第4位に『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』シリーズの第3作『My Big Fat Greek Wedding 3(原題)』など、顔ぶれに大きな変化はない。週末3日間の北米累計興収は6200万ドルと、2023年ではワースト2位の週末となったが、サマーシーズン直後の落ち込みは例年通り。ここから話題作の投入により、冬にかけてどんな盛り上がりを生み出せるかがポイントだ。

『バービー』©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

 今年の夏を盛り上げた『バービー』は、前週に引き続き第5位で、なんと9週連続でのベスト5入りを達成。北米興収は6億2612万ドルで、『アベンジャーズ』(2012年)を抜いて北米歴代第11位となった。歴代ベスト10に入るには、『ジュラシック・ワールド』(2015年)の6億5340万ドルを上回らねばならない。9月22日には北米などでIMAX上映もスタートするが、配信リリースも始まった今、果たしてこの壁を超えることができるか?

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