『機動戦士ガンダムSEED』は令和のガンダムファンに衝撃を与えるのか 西川貴教も反応
2クールの放送を終えた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(以下、『水星の魔女』)だが、興奮冷めやらぬガンダムファンをさらにヒートアップさせたのが、番組最後に流れた『機動戦士ガンダムSEED』(以下、『ガンダムSEED』)の劇場版予告編だ。
『ガンダムSEED』は、続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(以下、『ガンダムSEED DESTINY』)を終えた後、2006年にはアニメ雑誌で劇場版の制作が報じられていた。しかし、脚本家の体調不良(その後、他界)など諸々の要素で続報は途絶え、公開予定だった2007年から長年の歳月が過ぎた頃には、映画化の話はもうないだろうとファンの間でも囁かれ始めていた。それが2021年に『ガンダムSEED』の新プロジェクトが立ち上がり、劇場版の制作が現実味を帯びた形でアナウンスされた。あれから2年――具体的なメインタイトル『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』と、テレビ版の流用ではない新作カットを目にしたファンが湧きたつのも無理からぬ話である。
広大な世界観を持つガンダムシリーズは、『機動戦士ガンダム』(1979年)に端を発す、地球連邦軍とジオン軍の戦争があった世界線を引き継ぐ“宇宙世紀シリーズ”と、『機動武闘伝Gガンダム』(1994年)以降の、それぞれ独立した別の宇宙、別の世界で繰り広げられる“アナザーガンダムシリーズ”とで大きく2つに分けられる。登場するモビルスーツがほぼ全てガンダムを名乗る機体だった『機動武闘伝Gガンダム』、敵も味方も美形キャラ揃いの『新機動戦記ガンダムW』(1995年)を経て、美形キャラ同士がガンダムを駆って戦う『ガンダムSEED』(2002年)がスタート。アナザーガンダムの新時代を切り拓いた2人の主人公キラ・ヤマトとアスラン・ザラ、彼らと深い関わりを持つ歌姫ラクス・クラインなど魅力的な登場人物たちと、サンライズ作品『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』(1991年)を手がけていた福田己津央監督の演出が視聴者のハートを掴み、世界観を共有する続編が制作されるほどの人気を博した。
『水星の魔女』に込められた『ガンダム』の“自由”さ 岡本拓也プロデューサーに狙いを聞く
“ガンダム”とひとくちに言っても、そのシリーズの広がり方は果てしなく膨大だ。原点である『機動戦士ガンダム』(1979年)から始ま…
『水星の魔女』の岡本拓也プロデューサーにインタビューを行った際にも、岡本プロデューサーの口から度々そのタイトルが出ていたように、『ガンダムSEED』は作り手側にも視聴者側にも、平成を代表するエポック的なガンダムになっている。絶賛の声と共にファイナーレを迎えた令和のガンダム『水星の魔女』の後に、平成ガンダムの大ヒット作『ガンダムSEED』が劇場版となって帰ってくるのは実に象徴的な出来事だ。