『【推しの子】』は過去との決着の物語だ 有馬かなのタイトル回収で考える“推し”文化

 最終回が終わり、SNS上では早くも『【推しの子】』ロスの声が相次いでいる。しかし第2期の制作発表により、それを上回る期待を込めた応援の声もネット上に溢れていた。最終回の終盤では、アクアとあかね、そして有馬の「東京ブレイド」への出演が決定。第1期最終回で描かれた、あかねと有馬の役者魂がぶつかり合う様子は「アイドル」から「役者」へと物語のテーマが移っていく前フリとも捉えられる。続く第2期では、原作漫画第5〜第7巻までに該当する「2.5次元舞台編」をアニメ化すると予想できる。

『【推しの子】』第2期制作決定 ティザービジュアル&特報映像も公開

6月28日に最終回を迎えたTVアニメ『【推しの子】』の第2期が制作されることが決定し、あわせてティザービジュアルと特報映像が公開…

 また第1期を過去との決着の物語と捉えるのであれば、第2期はより、キャラクターの“今”の心情にフォーカスした物語が描かれると考えられる。アイドルとしてのスタートを本格的に切り始めた新生「B小町」、役者の道を着実に進んでいくアクアとあかね、アイドル活動と舞台の両立が始まる有馬。アクアに関しては、引き続き復讐の道を歩む形となりそうではあるが、あかねとの関係性や有馬への優しさなど、今のアクア自身がきちんと積んできたものがより鮮明に物語を彩っていくのだろう。

 有馬の華麗なタイトル回収にて幕を閉じた『【推しの子】』。もはや社会的にも浸透しつつある“推し”文化だが、誰かを推したくなるときというのは、実は日常生活に物足りなさや苦しさを感じているときなのかもしれない。本作は、人を惹きつける不思議な魅力を持つ“推し”の存在に救われ続ける、全ての「【推しの子】」たちの心を揺さぶる作品だった。第2期でアクアたちに再会する前に、今一度、『【推しの子】』に惹かれる理由について考えを巡らせてみるのも面白いだろう。

『【推しの子】』は“オタク”になぜ刺さるのか 他人事ではいられない“熱狂”の描き方

アイドルの内幕を描いたアニメ『【推しの子】』に注目が集まっているが、一度でも何かに熱狂したことがある“オタク”にとっては、他人事…

■配信情報
『【推しの子】』
各種配信サイトにて順次配信
原作:赤坂アカ、横槍メンゴ(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
キャスト:大塚剛央(アクア)、伊駒ゆりえ(ルビー)、潘めぐみ(有馬かな)、石見舞菜香(黒川あかね)、大久保瑠美(MEMちょ)、伊東健人(ゴロー)、高柳知葉(さりな)、内山夕実(アクア幼少期)
監督:平牧大輔
助監督:猫富ちゃお
シリーズ構成:田中仁
キャラクターデザイン:平山寛菜
アニメーション制作:動画工房
©︎赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
公式サイト:https://ichigoproduction.com/
公式Twitter:@anime_oshinok

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