長澤まさみら稀代の演技者が集結 『コンフィデンスマンJP プリンセス編』は今観たい1作
まもなく2024年も終わり。私にもあなたにもいろいろとあったはずだし、日本の社会的にも、世界的にも、いろいろあった。目の前にある問題について思考することはどんなときであれ、やめるべきではないと思う。けれどもそのいっぽうで、年の瀬のこの時期くらいはできるだけ健康的に笑ったり泣いたりして過ごし、新しい年を迎えたいもの。そんなことを思っていたところ、『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(2020年)が放送されるというではないか。この時期にお茶の間で観るのにベストな作品かもしれない。
本作は、長澤まさみが主演を務める大人気シリーズ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の「劇場版」の第2弾。2018年にスタートした本シリーズは、脚本家・古沢良太による「コンゲーム」を描いたオリジナルのコメディ作品だ。
この「コンゲーム」とは、“騙し騙され二転三転するストーリー”のジャンルのことで、同じ系譜に連なる作品だと『スティング』(1973年)や『オーシャンズ11』(2001年)などがある。私たちの持つ一般的な常識はまったく通用しない。どんな難解なミステリー作品でもその結末を予想できてしまう人がいるものだが、こと『コンフィデンスマンJP』に関しては無理だろう。そう、私たちはドラマの放送開始時から何度も何度も騙されてきた。「そんなのありかよ!」と思うことの連続。主人公・ダー子(長澤まさみ)が仕掛けるゲーム展開には、彼女の周囲の登場人物たちでさえも圧倒されっぱなしである。
この『プリンセス編』では、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)、五十嵐(小手伸也)といったお馴染みの信用詐欺師に加え、新たにコックリ(関水渚)というキャラクターが登場。物語の舞台はマレーシアのランカウイ島で、世界有数の大富豪レイモンド・フウ(北大路欣也)の遺産をめぐるコンゲームが繰り広げられることとなる。
そんな本作でカギを握るのが、新メンバーのコックリだ。身寄りのない内気な彼女をダー子が拾い、やがて右腕となる弟子へと成長。大富豪の邸宅へと潜入し、遺産の相続人に指名されている“ミシェル”としてコックリが奮闘していくのである。ブリジット(ビビアン・スー)、クリストファー(古川雄大)、アンドリュー(白濱亜嵐)らフウ家の3姉弟が火花を散らし合う様子も面白いのだが、やはり注目すべきはコックリが華々しく成長していく過程。ネタバレ厳禁な作品のためどこまで記してよいのか迷うが、これはひとつの“シンデレラストーリー”だともいえるだろう。