阿部サダヲ×芦田愛菜、時を経て感じた互いの強み 次に共演するなら刑事ドラマのバディ役?
永野芽郁と佐藤健がW主演を務める映画『はたらく細胞』が、12月13日より公開中。体内で働く無数の細胞たちの活躍を描く本作は、清水茜による同名漫画と原田重光・初嘉屋一生・清水が手がけたスピンオフ作品『はたらく細胞 BLACK』を原作にしている。
初の実写化となった本作の特徴は原作にはない「人間パート」を描いていること。そして、体内環境に明らかな差がある親子、父・漆崎茂と娘・日胡役をそれぞれ演じているのが、阿部サダヲと芦田愛菜だ。撮影現場での裏話をはじめ、共演を通じて改めて感じたお互いの魅力、そして次回の共演に向けた展望を語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
阿部サダヲ「ほかの現場ではない体験を愛菜ちゃんとできた」
ーーお二人は原作にはない「人間パート」のキャラクターを演じていますが、実際に完成した映像をご覧になっていかがでしたか?
阿部サダヲ(以下、阿部):いや〜面白かったです。2つのパートに分かれていることで、勉強としても分かりやすいし、笑えるところも泣けるところもあって、エンタメのいいとこ取りをして、ちゃんと映像にまとまっていることに驚きました。僕らは、人間パートの撮影にしか参加していないので、細胞役の皆さんがどういう芝居をしているのかまったく知らなかったんですよ。撮影は先に細胞パートをやっていたので、「(阿部演じる)茂の体内の人たちがすごく頑張ってました!」という話を聞いていました。
芦田愛菜(以下、芦田):私も試写まで作品を観れていなかったので、視聴者の方と同じ目線でワクワクしながら細胞パートを拝見させていただきました。思っていたよりも私の体の中が大変なことになっていて、細胞たちの頑張る姿と人間世界で人間たちが頑張る姿が重なり合う場面には心が動かされました。笑えるシーンも多いですが、感動するシーンもたくさんあるので、老若男女に楽しんでいただける作品だなと改めて思いました。
ーー本作は、スピンオフ作品『はたらく細胞 BLACK』も原作に取り入れている影響も大きいですよね。
阿部:「不摂生してるとこうなるんだよ」というのが視覚的によく表現されているし、体の不調のサインだったりが人間ドラマを通して再現されている点でも、実写映画版としてすごく成功している作品だなと。愛菜ちゃんが演じている日胡と、僕が演じている茂の体内とで、環境が全く違うのも総合的な見やすさに繋がっているのではないかと思います。
芦田:確かに! 人間たちの日常が描かれている分、想像しやすくなっていますよね。人間視点だと、くしゃみしたり、擦りむいてちょっと傷が付いただけのことが、身体の中では大事件になっていたりするんです。お話をいただいた時は、細胞パートとどうリンクするのか想像ができませんでしたが、観ている方が自分に置き換えて作品に没入できるのはすごく素敵だなと。
ーーそんな体内のはたらきぶりを観て、特に衝撃を受けたシーンは?
阿部:神経細胞が登場するシーンですね。DJ KOOさんが出てくるとは思わなかった(笑)。武内(英樹)監督っぽいなとは思いましたが。
芦田:私は赤血球(永野芽郁)が道を間違えて怒られていたり、よく見ると赤血球たちがみんな同じ方向に進んでいるのが面白いなと思いました。血液は絶対に逆流しないので、細かい演出がいろいろなところに張り巡らされているのが印象的でした。
阿部:物語で茂がおやつに食べていたトウモロコシが思わぬ形で再登場するのもよかったな。後で監督に聞いたら、「トウモロコシが便に混じって外に出ていくところをこだわって描きたかった」と力説していて、笑っちゃいました。
ーー今だから言える撮影現場のエピソードがあれば教えてください。
芦田:同じく人間パートに出ている加藤(清史郎)くんと水族館に行くシーンがあったんです。水族館の撮影楽しみだな〜と思いつつ、撮影現場に着いたら、エキストラさんたちが信じられないくらいびしょ濡れになっていて。水族館のシャチがすごい張り切ってくれていて、映像を観ていただければ伝わると思うのですが、私も加藤さんも本当にびしょ濡れになっています。
阿部:楽しそうな様子が伝わってくるシーンだったよね。撮影の合間の話でいうと、愛菜ちゃんと役者っぽい話をしていたのを覚えています。脚本を担当している徳永(友一)さんの特徴が台本のここに出てるよねとか、ほかの現場ではない体験を愛菜ちゃんとできたのは感慨深かったな。
ーーなるほど。本作での共演を通じて改めて感じた魅力はありましたか?
阿部:やっぱり感情表現にパワーを持っているなと。とあるシーンで、声は聞こえないけどお互いの表情は分かるみたいなシーンがあるんですけど、表情の豊かさというか、複雑な感情を自分の体を使って具体化するのが上手な俳優さんだなと改めて感じました。
芦田:ありがとうございます。コミカルな場面からシリアスな場面まで、阿部さんが持つお芝居の引き出しの広さに感動しました。阿部さんのいろいろな出演作を観ていますが、阿部さんはどんな役でも瞬時にそのキャラクターに入り込んで、観ている人の心を自然に動かすお芝居をされているので、私も学ばなければならないことがたくさんあるなと思っています。
阿部:なんか恥ずかしいですね(笑)。