目黒蓮、『わたしの幸せな結婚』で見せた“静の説得力” 作品を重ねるたびに広がる芝居の幅

『わたしの幸せな結婚』目黒蓮の説得力

 1月3日にSnow Manの目黒蓮が主演を務めた映画『わたしの幸せな結婚』がTBS系で本編ノーカットにて地上波初放送される。

 本作は、2023年3月に公開され、ヒロインに今田美桜を迎えて大正ロマンを彷彿とさせる時代を舞台に、美しい映像美とVFXを用いたアクションシーンも魅力のラブストーリー。目黒にとっては映画単独初主演を務めた記念すべき作品だ。

 原作は、顎木あくみによる同名小説(『小説家になろう』で連載)。2019年には小説とコミックのシリーズ累計発行部数900万部(2024年12月時点/コミック・電子書籍含む)を突破。このほか朗読劇やアニメ化もされている大人気作品の実写版だ。

 本作を手掛けたのは、『アンナチュラル』(2018年/TBS系)などのヒット作を生み出した塚原あゆ子監督。映画公開にあたっては、目黒と今田が東京大神宮でヒット祈願イベントを行い、その甲斐あってか、目黒は映画単独初主演作にして「第15回TAMA映画賞」最優秀新進男優賞、「第45回ヨコハマ映画祭」で最優秀新人賞を受賞。興行収入は28億円を記録する大ヒット作品となった。

 「ここではわたしの言うことに絶対に従え。出ていけと言ったら出ていけ、死ねと言ったら死ね。異論反論は聞かん」。ティザー映像にもあるように、目黒蓮が演じる久堂清霞は、美貌の持ち主ではあるが“冷酷無慈悲”。その噂通り、口数は少なく、表情も硬くて近寄りがたい印象だ。清霞の噂には理由があり、金や地位を目当てに寄ってくる女性を好まずにいたからだ。

 一方、名家の長女として生まれた斎森美世(今田美桜)は、早くに実母を亡くして以降、継母と異母妹から虐げられる日々を送っていた。家を追い出されるかのように政略結婚を命じられ、久堂家に入るところから物語が動き出す。これまで婚約者候補が3日も持たずに逃げ出したという悪評に違わぬ態度の清霞。しかし、日々の生活を通して美世は、清霞の本当の人物像を知っていく。

 銀髪を後ろで束ね、長めに下ろした前髪から覗くは長いまつ毛と優しい瞳ーー。目黒は、清霞の冷酷な一面をしっかり出しつつ、心はまっすぐで温度感がある様子を見せる。目黒特有の低めの声の、尖りと丸みを巧みに使い分け、長らく閉ざしていた重厚な心の扉が徐々に開き、光が射す……そんな心の動きを繊細に表現してみせた。表情の変化や口数が少ない役柄だけに、姿勢などの佇まいに説得力が求められるのだが、和装や軍服を着こなし、シーンに溶け込む“静の説得力”ともいうべき姿があった。一方の美世もすっぴんさながらの極限までそぎ落とした姿で、2人の身長差もいいエッセンスに。時代背景に馴染む、純粋な恋愛物語が新鮮に映った。

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