『【推しの子】』やブシロード作品も頑張った! アニメ“3話切り”回避の歴史と今後

 アニメファンの間で「3話切り」という言葉があります。これは第3話まで観て作品の雰囲気や方向性を掴み、視聴するかどうか判断するというスタイルのこと。近年はタイパ意識の高まりのためか、さらに短期間で判断する「1話切り」やキービジュアルやPVだけで判断する「0話切り」といった言葉もあるようです。

「3話切り」対策の完璧な正解を見せた『【推しの子】』第1話

TVアニメ『【推しの子】』本予告【2023年4月より放送開始】

 そもそも「3話で切るなんて!」と感じるアニメファンもいるでしょう。確かに3話で切っていたら『便利屋斎藤さん、異世界に行く』最終回の滅茶苦茶な多幸感や『アルスの巨獣』最終回の超弩級の衝撃を堪能できなかったわけだし、春クールだと『カワイスギクライシス』のチルハウス的な味わいも観続けてこそのものです。しかし本稿ではアニメシリーズを途中で切ることの是非は一旦置いておきましょう。

 今回テーマとしたいのは、この3話切り……つまり序盤で視聴者に切られることを回避しようと努めるアニメについてです(3話切りがいつからある概念なのか不確かで、さらに制作陣の思いは視聴者からは想像するしかないことのため見当外れなこともあるかもしれませんがそこはご容赦を)。

 「3話切り」とGoogleで検索しようとするとサジェストされるのが『まどマギ』こと『魔法少女まどか☆マギカ』。その第3話「もう何も怖くない」の意外な展開は大きな話題を呼び、作品の大ブレイクにつながりました。しかし『まどマギ』が放送されたのは2011年で、もう12年も前のこと。今では序盤、むしろ第1話にドラマチックな展開や大きな仕掛けが配置され、視聴者の心を掴もうとするアニメ(およびその原作となるマンガなど)が増えています。

 代表的なのは、春クール一番の話題作となった『【推しの子】』第1話「Mother and Children」。近年、初回(もしくは最終回)に1時間放送するアニメは1クールに数本確認できる程度には定番となっていましたが、『【推しの子】』第1話は90分と異例の大ボリュームでした。そこで原作の単行本1巻分となる序章の話をまとめて展開し、クオリティの高さも相まって抜群のスタートダッシュを切ることに成功。その後の盛り上がりは、多くのアニメファンが知るところですが、もしこれが30分で無理やり序章をまとめたり、逆に3週間かけて序章を展開していたりしたらここまでのブレイクはなかったのではないでしょうか。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アニメシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる