年間興収ランキングのトップ10から実写外国映画が消えた2024年

年間興収ランキングから実写外国映画が消える

 12月第5週、2024年最後の動員ランキングは、1位から6位まで先週と順位は同じ。1位から8位までは作品のラインナップも同じ。ということで、日本映画では『はたらく細胞』が、外国映画では『モアナと伝説の海2』が正月映画としての興行サイドからの期待になんとか応え、そこにスペシャルドラマが放送された翌日となる月曜日公開というイレギュラーなタイミングで年内すべり込み公開となった『グランメゾン・パリ』がどこまで食い込むことができるか、という形勢となった。

 逆に言うと、12月に入ってから公開された3位以下の『ライオン・キング:ムファサ』、『劇場版ドクターX』、『聖☆おにいさん THE MOVIE〜ホーリーメンVS悪魔軍団〜』、『【推しの子】-The Final Act-』はいずれも期待外れの興行に。例外的に4位の『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』は昨年の『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』同様に意外な健闘(『忍たま』の配給は松竹、『ゲゲゲ』の配給は東映だが)といったところだろうか。ラインナップの弱さが懸念されていた今年の正月映画だが、その懸念通りの結果となってしまっている。

 そして、フルCG作品の『ライオン・キング:ムファサ』を除けば、この年末年始の書き入れ時のトップ10圏内に影も形もないのが実写の外国映画だ。2024年の国内映画興行の概況については年明けに改めて映連から発表があるので、詳しい数字についてはその時期に触れるつもりだが、既に各所で報じられている通り、最大のトピックの一つは実写外国映画が年間興行収入ランキングのトップ10から消えたことだろう。

 いや、トップ10どころではない。実写外国映画で最高位となるのは『デッドプール&ウルヴァリン』の16位。トップ20圏内に入ったのも、興収20億円を超えたのも、『デッドプール&ウルヴァリン』(興収20.7億円)一作品だけ。実写外国映画としてそれに続く年間21位の『オッペンハイマー』(興収18億円)の日本配給は、周知の通りイレギュラーな事情から独立系のビターズ・エンド。年間24位の『ゴジラxコング新たなる帝国』(興収17.1億円)の日本配給は、『ゴジラ』フランチャイズ作品の契約に則って東宝。というわけで、今年、洋画メジャーの配給による実写外国映画で『デッドプール&ウルヴァリン』の次に興収をあげたのはソニー・ピクチャーズ配給の『ヴェノム:ザ・ラストダンス』(興収15億円)ということになる。

 最近では、洋画メジャー配給の作品を映画館に観に行っても、同じ配給会社の作品の予告編がろくに流れないことも増えてきた(流れたとしても『はたらく細胞』のような洋画メジャーによるローカルプロダクション作品か、『ジョーズ』や『E.T.』や『ジュラシック・パーク』のようなリバイバル上映)。端的に言って、いろいろ心配です。

『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/

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