『ONE PIECE』から『名探偵コナン』まで 視聴者の成長に合わせて“変化”するご長寿アニメ

 「アニメ大国」と呼ばれる日本のアニメ作品は、世界中で愛されている。海外でも日本のアニメが放送されていたり、マンガ本が書店に並んでいたりする。海外での放送時には、文化や放送規定の違いによってキャラクターの設定が少し変更されていることもあり、アメリカ版『ONE PIECE』では、放送規定の関係でサンジの煙草が棒付きキャンディーとなっているのは有名だ。ある意味、その国オリジナルの要素が組み込まれながらも、日本の作品は世界中のファンを魅了している。

 そんな世界で愛される日本のアニメ作品には、『ONE PIECE』をはじめ、『ドラゴンボール』、『名探偵コナン』、『美少女戦士セーラームーン』など国内でも人気の高い作品が名を連ねる。他にも、『ドラえもん』や、『ちびまる子ちゃん』のような子供がターゲットとなっている、いわば幼児向けアニメも海外で放送されており、人気がある。これらの作品は長年テレビ放送がされている、いわゆる「ご長寿アニメ」である。スーパーパワー系の『ONE PIECE』、『ドラゴンボール』、非現実的な日常系の『ドラえもん』、『名探偵コナン』、現実的な日常系の『ちびまる子ちゃん』、『サザエさん』とそれぞれの異なる魅力と長年愛され続ける秘訣を考えてみたい。

 まず『ONE PIECE』と『ドラゴンボール』に共通する魅力は、キャラクターたちの“スーパーパワー”とバトルシーン、ギャグ要素、友情や仲間との絆が描かれていることだ。空を自由に飛んだり、変身したり、未来が見えたり、異次元のパワーを持つなど、誰もが1度は想像したことがある“スーパーパワー” が描かれることで、多くの視聴者の憧れが詰まった世界が広がっている。そんな、“スーパーパワー”を全面に使った、真剣な眼差しの戦闘シーンがある一方、ギャグシーンも多く描かれている。典型的な「出会い→敵の登場→バトル→主人公たちの勝利」の流れだけでは、視聴者は飽きてしまうことが多いが、この中についつい笑ってしまうようなギャグ要素が入ることで、完璧ではないギャップがキャラクターたちの魅力となり、視聴者を惹きつける。

 また『ONE PIECE』では、奴隷や人身売買、魚人族への差別、戦争など、大人向けの少し重たい内容も描かれている。こういった題材を扱うアニメに幼少期から触れることで、「やってはいけないこと」を感じとるだけでなく、大人になるにつれて、幼少期には理解できなかったシーンに胸を打たれるという「子供と大人の見方の違い」が生まれる。子供はキャラクターの強さにかっこよさを感じ、大人は内容にも感動する。自らの成長に応じて魅力も変化するため、全ての世代の心に刺さるのだ。

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