『殺されたミンジュ』キム・ギドク監督の独占メッセージ到着 藤原竜也ら著名人からコメントも

キム・ギドク独占メッセージ到着

 1月16日から公開される『殺されたミンジュ』の日本公開を記念して、本作を手がけたキム・ギドク監督と主演のマ・ドンソクのメッセージが到着した。

 『殺されたミンジュ』は、『嘆きのピエタ』『メビウス』に次ぐ、キム・ギドクによる長編20作目となるサスペンス。少女殺人事件に関わった容疑者たちが、7人組の謎の武装集団に誘拐・拷問され、罪の告白を強要される模様を描き出す。謎の集団のリーダーを『悪いやつら』のマ・ドンソクが演じ、『春夏秋冬そして春』以来、約11年ぶりのギドク作品参加となったキム・ヨンミンが1人8役を演じる。

 ギドクは、本作の原題や邦題に込められた意味について、ドンソクは自らが演じた役どころやギドク監督との仕事について、メッセージを寄せている。

 また、本作をいち早く鑑賞した著名人からのコメントも到着。俳優の藤原竜也や斎藤工、女優・映画監督・プロデューサーとして活躍する杉野希妃、『あん』の河瀬直美監督が、本作に対する想いを述べている。

キム・ギドク監督メッセージ

『イルテイル(一対一)』が、日本で『殺されたミンジュ』として公開されることに感謝いたします。韓国語のタイトル『イルテイル(一対一)』には、はたして私たちが生きている社会は国民一人一人が尊重されている社会なのか? という問いかけが込められています。日本語のタイトルは『殺されたミンジュ(民主)』となりましたが、そこには「民主主義の死」という意味が込められていると思います。この映画は、民主主義の死に関する物語です。
韓国は民主主義を成し遂げるのに長い時間を必要とし、多くの人々の犠牲を伴いました。しかし現在、民主主義は後退してしまっています。
私はこの映画を撮りながらとても苦しみ、取り終えた後もしばらくの間、苦しみました。それはおそらく私自身、民主主義に対して無関心になり、放置し、自分の幸せのためだけに生きてきたという自責の念があったからです。
絶えず映画の冒頭は「人間とは何か?」という質問から始まり、最後には「私は誰か?」で終わります。『殺されたミンジュ』もやはり、「国家と国民とは何か?」という質問で始まっています。人間が自身を苛むのは、人類が生きていくためのエネルギーではないかと思います。それは放棄ではなくエネルギーの循環、すなわち自然ではないかと思います。黒と白は同じ色なのです。

2015年12月15日 キム・ギドク

マ・ドンソク メッセージ

映画『殺されたミンジュ』は、最初のシーンに出てくる腐敗した力の犠牲になる少女が多くの意味を持っているように、象徴的な意味が随所に隠れている映画です。私が演じた役どころは、自由人であり、父親であり、兄であり、加害者たちを拉致して拷問するという極端な方法を通じて真実を暴き、懲罰する人物です。この人物だけでなく、映画に登場する全てのキャラクターに監督が考えた象徴的な意味が込められています。このキャラクターを理解して納得したというよりは、この人物を自分の中に受け入れるように努めました。
また、キム・ギドク監督の作品の中でも台詞が多い作品だったので、毎朝変わる台本を頭に入れ、9日間撮影しながらほとんど寝ることもできませんでしたが、その苦痛を忘れて楽しい気持ちで撮影にのぞむことができたのは、日頃から大好きだったキム・ギドク監督との現場だったからです。この時代の巨匠、キム・ギドク監督との仕事は楽しく、多くのことを学べる機会でした。私の映画に対する見方も少し変わったような気がします。演出、撮影、編集まで直接こなされる監督は特別な存在に感じられます。マ・ドンソクという俳優にとっても、私自身にとっても、『殺されたミンジュ』はいろいろなことを考えさせられる貴重な作品となりました。

マ・ドンソク

著名人コメント一覧

藤原竜也(俳優) コメント

すべてうまくいくわけではない。
何で今を生きているのか?
皆必ず泣く、泣く。そして失望する。
敬愛するキム・ギドクが
今この時代に撮った! すごい。
あのキム・ギドクが撮った! 凄い。
ボクは思う、これが人間なんだと。
ボクは、キム・ギドクの映画が大好きだ!

斎藤工(俳優) コメント ※公式ブログ「斎藤工務店」より

相変わらず
内臓をギュルギュルさせられる

杉野希妃(女優、監督、プロデューサー) コメント

全て脱ぎ捨てて裸になれば、本当の自分になれるのか。
私たちは何故これほどまでに私たち自身が生み出した社会に翻弄されてしまうのか。
残酷だけれど、悲しいくらい“今”が刻まれている。
私たちの生き方を問いかけてくるキム・ギドクの叫び。
最期にあの男が見ていたものを、直視しなければならないのだと思った。

河瀨直美(映画監督) コメント

救いようの無いこの世界の果てで、わずかな希望を見いだすように、キム・ギドクはこの映画を創ったのだ。辛く苦しく、果てしなく、渇望する想いとともに・・そして世界は続き・・やがてわたしはその世界を渇望するのだろう、希望を胸に。

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(c) 2014 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.
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■公開情報
『殺されたミンジュ』
1月16日より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
監督:キム・ギドク
出演:マ・ドンソク、キム・ヨンミン、イ・イギョン、他
提供:キングレコード、太秦
配給・宣伝:太秦
原題:「One on One」
2014年/韓国/122分/DCP/カラー/R18
(c) 2014 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.

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