山田涼介が放つ“ズレの美学” 『ダメマネ!』スター役で描く、俳優としての現在地

4月20日より日本テレビ系でスタートした新日曜ドラマ『ダメマネ! -ダメなタレント、マネジメントしますー』。芸能界を舞台にした本作は、川栄李奈演じる元天才子役という過去を隠して芸能事務所に入社した新人マネージャー・神田川美和を主人公に据えた、人生のリベンジを描くお仕事コメディだ。
その第1話冒頭、ひときわ大きな話題を呼んだのが、ピンクのウサギの着ぐるみを脱いで登場した、ある俳優の姿だった。その人物とは、Hey! Say! JUMPの山田涼介。彼が演じるのは、TOYOプロダクション芸能1部に所属するスーパースター・真田祐士。放送前から実施されていた「ウサ誰」キャンペーンで、正体が隠されていたピンク色のウサギの中の人物が山田であると明かされると、SNSは歓喜に包まれた。だが、この鮮やかな登場が単なる話題先行では終わらないことは、彼のこれまでの俳優としての歩みを追ってきた視聴者には明白だったはずだ。

劇中の真田は、端正な顔立ちと圧倒的なカリスマ性を持つ若手トップ俳優。だが、そんな完成されたキャラクター像を、山田はあえて自らのパブリックイメージに重ね、セルフパロディとして演じてみせる。初登場の場面では、ピンクの着ぐるみから顔を覗かせ、まるで現実のファンからの熱狂をそのまま劇中に持ち込んだかのような演出が施された。「俺のこの顔面を見て心が動かなかった女性は初めてだ」といった、スターとしての自信とやや過剰な自己愛が混在する台詞も、絶妙なユーモアとして成立している。
それは山田自身がこれまで『もみ消して冬〜わが家の問題なかったことに〜』(日本テレビ系)や『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)といった作品で培ってきた完璧さの中にあるズレを演じる演技スタイルがあってこそだ。彼が演じてきたコメディキャラには一貫して、“能力は高いが、どこかズレている”“どこか不憫”という共通項がある。そのズレから生まれるユーモアと哀愁が、今回の真田にも受け継がれていた。
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『ダメマネ!』の監督を務めるのは、ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)シリーズなどで知られる瑠東東一郎。瑠東の演出は、キャラクターの内面を繊細に拾いながら、ユーモアと感情が巧みに混在している。第1話でも真田(山田涼介)が美和(川栄李奈)の会話を見守るというシーンが描かれていたが、あの沈黙は、派手なパフォーマンスとは裏腹に、彼が内面に何らかの葛藤や想いを抱えていることを静かに示されており、完璧なスターに人間味を帯びていた。