“交際ゼロ日婚”が現代人に響く理由とは? 『わた婚』好きに観てほしい『めおと日和』

『わた婚』好きに観てほしい『めおと日和』

 不倫、復讐、托卵、風俗など、刺激的な題材を扱った作品が増加傾向にある日本のドラマ。今期も過激なタイトルが並び、放送前から物議を醸している作品も。そんな中、限りなく純度が高く、心穏やかに観られそうなラブストーリーが幕を開ける。4月24日より放送開始となるフジテレビ系木曜劇場『波うららかに、めおと日和』(以下、『めおと日和』)だ。

 漫画アプリ『コミックDAYS』で連載中の西香はちによる同名コミックを実写化した本作は、今から約90年前となる昭和11年が舞台。主人公のなつ美(芳根京子)が突然の縁談で帝国海軍の中尉である瀧昌(本田響矢)のもとに嫁ぐところから始まり、恋愛に不慣れな2人のピュアな新婚生活が紡がれていく。

『波うららかに、めおと日和』©︎フジテレビ

 時代設定から何まで民放ドラマとしては珍しい作品だが、ラノベやアニメファンの中には既視感を覚える人もいるのではないだろうか。交際ゼロ日婚、ピュア妻、エリート軍人……と聞いて思い出さずにはいられないのが、『わたしの幸せな結婚』(通称、『わた婚』)である。

 同作は、2019年から富士見L文庫(KADOKAWA)より刊行されている顎木あくみ著、月岡月穂イラストによるライトノベルだ。シリーズ累計発行部数は900万部を突破しており、高坂りとが作画を手がけるコミック版も評判。2023年3月には、Snow Manの目黒蓮と今田美桜で実写映画化され、大きな話題となった。

『わたしの幸せな結婚』©︎2023映画『わたしの幸せな結婚』製作委員会

 他にも朗読劇や2.5次元舞台など、さまざまなメディアで展開されてきたが、特に人気なのがテレビアニメだ。2023年7月期に放送された第1期が6週連続でNetflix週間グローバルTOP10入りするという快挙を成し遂げ、2025年1月に始まった第2期も好評の中、つい先日に最終回を迎えたばかり。

 ヒットした理由はいくつか浮かぶが、一つは和風とファンタジーが融合する世界観が海外のアニメファンにもウケたと考えられる。舞台となるのは、明治・大正期の日本を彷彿とさせる架空の世界。そこには古来より鬼や妖などと呼ばれ、人に害をなす“異形”が住み着いており、超常的な力を持つ“異能者“が退治にあたってきたという設定だ。作中では少年漫画さながらに激しい異能バトルが繰り広げられ、観る者をワクワクさせる。

『わたしの幸せな結婚』©︎2023映画『わたしの幸せな結婚』製作委員会

 しかし、あくまでも主軸が置かれているのは、ヒロインの美世とその夫である清霞の恋愛模様というのが同作の肝だろう。美世は異能者を代々輩出してきた名家に生まれながら、自身はその才を持たず、家族から虐げられてきた。そんな彼女が嫁ぐことになったのが、同じく名家の若き当主で、エリート軍人の清霞。最初は望まぬ政略結婚だったが、2人は次々と降りかかる困難をともに乗り越えながら、少しずつ心を通わせていく。ここが、『めおと日和』との最大の共通点だ。

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