『ガンニバル』壮絶な展開でついに完結 大悟たち家族のラストシーンに込められた“希望”

『ガンニバル』ラストシーンに込められた希望

 供花村と後藤家の歴史を紐解きながら、前シーズンで残されたままだったミステリアスな部分を(その最終回から実に2年越しに)ひとつずつ回収していったディズニープラス スター オリジナルシリーズ『ガンニバル』シーズン2。4月23日に配信がスタートした第8話は、そのシーズンフィナーレであると同時に、この物語の“完結”のエピソードとなる。それに足るだけの壮絶な展開が待ち受けていたことはいうまでもないが、最終的にはすべてが穏やかなかたちに落ち着いた点は一安心だ。

 “あの人”によってどこかへ連れて行かれたましろ(志水心音)を救出するため、なかば渋々ながらも手を組んだ大悟(柳楽優弥)と恵介(笠松将)は、祭壇のある洞窟へとたどり着いた。そして恵介は、銀(倍賞美津子)の亡霊に苛まれながらも父である“あの人”=白銀(しろがね)の額を銃で撃ち抜く。駆けつけた後藤家の男たちに囲まれる恵介だったが、撃たれてもなお息絶えることのない白銀がその間に立つ。まさに“現人神(あらひとがみ)”たる神々しい姿を見せつける白銀に、後藤家の者たちもただただひれ伏すことしかできずにいるのである。

 その異様な空間の調和を打ち砕いたのは、前回のラストカットでひとりだけ不穏な表情を浮かべていた岩男(吉原光夫)に他ならない。自らのことを後藤家の当主――すなわち恵介を守る“兵隊”であると称していた彼は、このシーズン2において恵介の次に複雑な立場と心情を抱えた登場人物であったといってもいいだろう。そのバックグラウンドについてははっきりと描かれなかったものの、体の大きさと力強さから察するに、後藤家の血脈に混入した“カシハベ”の末裔であることは明白だ。そんな岩男は白銀に襲いかかりとどめを刺すと、まるで“現人神”を継承したかのように怪物と化し、同胞たちを攻撃していくのだ。

 今回のエピソードにおいては、この洞窟で繰り広げられる後藤家の内紛模様と並行して、河口尊(岩瀬亮)をはじめとした供花村の村人たちが後藤家を“根絶やし”にしようと動きだすさまも描かれていく。この物語の発端ともいえる銀の死が、村人のほとんどが共謀して行なったものだと明らかにされる冒頭シーン。その真相を知ると、つまりは大悟が後藤家と死闘を繰り広げながら供花村の闇に触れていたあいだも常に、村人たちは後藤家を崩壊へと追い込むチャンスを窺っていたということがよくわかる。

 後藤家の中核である銀が亡くなってもなお、彼女の圧倒的な魔性によって洗脳された者たちがのうのうと村人たちを威圧し、何よりもその背後には白銀がいる。シーズン2の第6話で描かれた70年前、飢饉に苦しんだ村人たちは若き日の正宗(倉悠貴)に焚き付けられるようにして(もちろんそれも銀がけしかけたものだったが)、後藤家へ暴動を起こした。それを収めたのが銀であり、彼女がその際に村人へ提示した後藤家との関わりかたが、長い年月を経て新たな火種となり、この現代への一連につながる。歴史というものは往々にして繰り返されるものなのか、それとも外界から隔絶された“ムラ社会”特有の脆弱さゆえのものなのか。いずれにしてもその皮肉な争いの連鎖は、どこか物哀しいものがある。

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