空気階段・鈴木もぐらがうまい飯を通して己を語る! 初の単著『没頭飯』は「読む調味料」だ

鈴木もぐらがうまい飯を通して己を語る!
鈴木もぐら『没頭飯』(ポプラ社)

 空気階段・鈴木もぐらによる初の単著『没頭飯』(ポプラ社)が3月30日発売された。

 内容は、とにかく飯について。もぐらの飯にまつわる思い出話、もぐらが見つけたうまい飯屋の紹介、チェーン店やお菓子の楽しみ方、うまい卵かけご飯の作り方――。読んでいるだけで「自分もうまい飯を食って人生を楽しまなければ!」と思わされること請け合いである。

 著者のもぐら本人に、本書とうまい飯への思いを聞いた。

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1500円の「読む調味料」

――初の単著ですが、出来上がってみていかがですか?

鈴木もぐら:とにかくこの本がみなさんの食前・食後の場にあってくれたら嬉しいですね。ふつう「食前・食後」って言ったら薬くらいしかないじゃないですか。

――(笑)。

もぐら:1500円出して買っていただくわけですから。飯で言えば2食分ですよ。その元を取ってもらえるような「読む調味料」になってくれればと思います。七味なんて1500円あったら何本買えるんだって話ですからね。そういう新たな七味だとか新たな山椒の枠にこの本を入れてもらって、ぜひ元を取ってほしいです。

――今回の本は、語り下ろしにXの投稿、さらには書き下ろしのパートも混ざって出来ているとのことです。作るのは大変でしたか?

もぐら:語り下ろしは編集者の方にしゃべった内容を文章にしてもらったのでよかったんですけど、書き下ろしはとにかく書き始めるのに時間とエネルギーが要りましたね。「今日こそは書こう」と思って机に向かっても、「ああダメだ、やっぱシコろう!」みたいな。観念して書き始めたらガーッと進むんですけどね。

――文章はとにかく飯の描写がおいしそうでリズムも良く、プラスところどころ哲学的なところがあって文才を感じました。好きな作家さんはいますか?

もぐら:本は漫画ばっかり読んでますね。富樫義博先生、板垣恵介先生、古谷実先生、木多康昭先生、漫☆画太郎先生……。そんな先生たちと同じ本屋さんにこの本が並ぶと考えたらちょっと恐れ多いです。だからというわけではないですけど、本屋さんだけでなく床屋さんなんかにもこの本が置いてあってほしいなと思います。散髪を待つあいだにパラパラめくってもらって、「切り終わったらこの飯屋に行ってみようかな」みたいなフランクな感じで読んでほしいです。

――フランクという点では、牛丼やハンバーガーなどの外食チェーンやじゃがりこなどメジャーなお菓子の楽しみ方も書かれていて、全国どこに住んでいる方でも楽しめると思いました。

もぐら:とにかくぼくはふだんこういうものを食ってて、こういう食い方をしてますという本ですから。もちろん食い方は千差万別なので、この本を参考にしつつ独自の道を追求してもらえれば、それほど嬉しいことはないです。

――ふだんからいろんな食べ方を試しているんですか。

もぐら:はい。「もったいない」精神というか、いろんなメニューと調味料があるのをフルに楽しみたい。たとえば吉野家で牛鮭定食を頼んだら、ふつうに食うのもいいけど鮭をほぐしてフレークみたいにして牛丼にかけてみるのもうまいんじゃないか、とか。松屋でも牛丼に焼肉のタレぶっかけてみるのもアリなんじゃないか、とか。そういう好奇心は大事にしてるかもしれません。

――逆にいろいろ試すなかで失敗することもありますか。

もぐら:「もう終わりだ、これは取り返せない」とはならないです。調味料はちょっとずつ足していく。ラーメンで言えば、味変をまずレンゲのなかで小さくつくって試すみたいなことをします。

うまい飯屋探し、そしてダイエットの真相

――チェーン店以外でも、東京を中心においしそうなご飯屋さんがたくさん紹介されています。おいしい店を探すコツはありますか。

もぐら:とにかく入ってみるしかないですよ。勇気、そして冒険心。ひとは1日3食しか食えないので「ミスったら嫌だな」と思う気持ちもわかるんですけど、やっぱり失敗を恐れず行くしかないです。

――もぐらさんが住んでいる高円寺の店もたくさん紹介されていますよね。

もぐら:それでもまだ行けてない店はたくさんあります。スパイスカレーとか寿司とか。「まだまだ探していかないと」と常に思ってますね。もちろんいつも行くうまい店も大事なので、バランスをとるために曜日で決めちゃうとかもアリかもしれない。「土曜日だけは絶対食ったことない店に行く」とかね。別にルールを作ったところで、気が変わったら自分で勝手に破ればいいわけですから。

――もぐらさん自身はなにかルールを作っていますか。

もぐら:とくにないですね。とにかくそのとき食いたいものを気の赴くままに食う。なにより「あれが食いたい!」という欲望が大事。

――「今日は疲れたから飯はなんでもいいや」と思うことはないですか。

もぐら:ないです。1日3食までしか飯を食えないという人体の制限にちょっと怒りを感じるくらいです。でも、怒っても仕方がないので、とにかくうまいものを探して楽しんでます。

――たしかにこの本を読んでいたら、もぐらさんが日々の食生活を楽しんでいるのが伝わってきます。他方で、入院中の病院食がマズくて「健康じゃないとうまい飯を食べられないんだ」と実感した話もありました。病院食でとくにつらかったものはありますか。

もぐら:正直全部なんですけど、ほうれん草のおひたしはとくにきつかったですね。ほとんど出汁のきいてない水みたいなものにひたしてるから、もう「おひたし」っていうか「お濡らし」だろと。

――(笑)

もぐら:あと無塩パンもきつかった。ふだんはパンに塩が入ってるなんて意識しないじゃないですか。塩ってこんなに重要なんだ、と思いましたね。まあ好き放題に暮らして身体を壊した自分が悪いんですけど、これは刑務所みたいなものだなと思いましたよ。だから犯罪も絶対やっちゃダメだと思いますよ。うまい飯が食えないというのはここまで苦痛なのかと。

――ところで一時期より明らかに痩せましたよね。健康のためでしょうか。

もぐら:これはまた全然違う話なんです。肩こりがひどくて、あるとき高円寺のゴッドハンド的なマッサージ師を紹介してもらったんです。ところが2 週間ぐらい予約が空くのを待って行ってみたら、中国人のおっさんが俺を見るなり「お前太りすぎだろ!」ってすごい噛みついてきて。「こんなに太ってたら肩こるに決まってるだろ!」ってそのまま帰らされた。

――マッサージしてもらえなかったんですか!

もぐら:そう! それが悔しくて、「絶対に痩せてあのジジイを見返してやる」と。

――どうやって痩せたんですか。

もぐら:いまは晩飯を抜いてます。

――三食のうちの貴重な一食を犠牲に……!

もぐら:だからもう人生かけてるくらいの怒りですよ! 絶対にこの肩を揉ませてやりますからね。

――そのぶん、いまは朝昼にさらに研ぎ澄まされた食欲をぶつけていることになりますね。

もぐら:じつは23年にもダイエットに成功していて、そのあと「復讐」としてなにも気にせず食った飯をXに投稿した写真と文章もこの本には入ってるんです。なので、そのうち新シーズンの「復讐:アルティメット」が始まるかもしれません。

母と高円寺が教えてくれたもの

――そういえば、自炊はあまりしないんですか?

もぐら:外食ばっかりです。母子家庭だったので火を使いはじめるのは早くて、インスタントラーメンなんかは子どものころからよく作ってたんですけどね。「じゃあちょっとチャーハンでも作ってみようか」と肉を焼いたりすると、どうも味気ないものしかできなくて。

――本にはお母様のエピソードもたびたび出てきます。「はじめに」では、お母様がよく「私はうまいもんを食うために生まれてきたんだ!」と叫んでいたと書かれていました。この本はそんなお母様から生まれた証とも書かれていますが、もぐらさんにとってお母様はどういう存在ですか?

もぐら:うーん……いまになって思うのは、「他人である」ということですね。血は繋がってますし、「やっぱり親子なんだな」と思うこともあるんですけど、基本的には自分とは別の人間だなと。正直、「こんなひとだったのか」とか「こんな風にはならないぞ」と思わされることもときどきある。

――本では、もぐらさんが子どものとき、お母様のふだんの教えに沿って行動したつもりが「なんであんなことしたんだ!!!」とゲンコツをくらった話も出てきました。

もぐら:言われたとおりやったのにいきなり怒られるというね。やっぱり社会ってそういう理不尽なものじゃないですか? それを最初に教えてくれるのが親なのかなと。

――社会に出たもぐらさんはかなり前から高円寺に住んでいて、「高円寺芸人」としても知られています。もぐらさんにとって高円寺はどういう街ですか?

もぐら:最高の街ですよ。家賃も飯も安いし、新宿まで10分ぐらいで行けるしで、とにかく住みやすい。目に見えない部分で言えば、「闇鍋みたい」というか、とにかくなんでも許容してくれる街。たとえばですけど、店でラーメンを食うときに自分のポケットからマヨネーズ出してぶっかけても怒るひとはいないんじゃないですかね。「人間はこうじゃなきゃダメ」みたいなルールがない。すごく不思議で懐が深い街だと思います。

――21年にキングオブコントで優勝したときには「高円寺芸人 鈴木もぐらさん おめでとう!!」の横断幕が商店街に出たりもして、もう高円寺から出られないとも書かれていました。

もぐら:これで高円寺を出たら裏切り者扱いですよ。そんなことしたらどうなっちゃうんだろう……。やっぱり懐が深い街じゃないな、恐怖の街です。

――(笑)。最後に、この本はどんなひとに読んでほしいですか?

もぐら:はっきり言って、インバウンド狙ってます! 世界各地からくる日本好きの旅行客に読んでいただいて、「これに書いてあったあの店に行ってみよう」みたいな。もしこのインタビューを読んだ日本好きの翻訳者の方がいたら、イングリッシュバージョンでもスパニッシュバージョンでも、中国語版でも韓国語版でも、お話をお待ちしております!

■書誌情報
『没頭飯』
著者:鈴木もぐら
価格:1,650円
発売日:2026年3月30日
出版社:ポプラ社

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