【漫画】殺し屋が撃たれる瞬間に見る走馬灯は? クリストファー・ノーラン的な演出が光る『禁煙』

【漫画】殺し屋が撃たれる瞬間に見る走馬灯

 頭を撃ち抜かれるまで残された時間はあと数秒――。2023年に「週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞」準大賞を受賞した読切漫画『禁煙』が、改めてXに投稿されて人気となっている。

 作者は楚歌まことさん(@soka_makoto_yj)。映画監督のクリストファー・ノーランに影響を受けたという時間感覚や、ハードボイルドな世界観の裏側について話を聞いた。(小池直也)

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『禁煙』(楚歌まこと)

――現在は4000を超えるいいねが集まっていますが、ご自身としてはいかがですか?

楚歌まこと(以下、楚歌):「あと数秒で打ち抜かれる」という、最初の引きで伸びたのかなと思います。ストーリーには自信があったので、読んでもらえれば面白いと感じてもらえるだろう、とは予想してました。

――物語の着想について教えてください。

楚歌:クリストファー・ノーラン監督『メメント』の影響はありますね。あれは「忘れてしまう男」のストーリーでしたが、本作は逆に「思い出していく男」を主役にしました。

 タバコが6本出てくるのは浦沢直樹先生の『MONSTER』から。殺し屋が、ターゲットである男性がコーヒーに角砂糖を5つ入れたことに興味を持ったがゆえに殺せなくなるというエピソードがあるんですよ。そういった要素を組み合わせています。ストーリーや脚本は自作のなかでも一番気に入っている漫画ですね。

――全体の経過は数秒に過ぎない一方、それを回想と編み合わせる展開は漫画だと難しいと思います。

楚歌:本来だと現在と過去を行ったり来たりすると混乱してしまうと思うんですけど、タバコを付けたり消したりする毎に場面が変わる展開になっています。読切としては短めの作品なこともあり、読みやすさは意識して描きました。

――楚歌さん自身は硬派でハードボイルドな世界観がお好きなのでしょうか。

楚歌:よく言われるんですけど、僕は特に好きという訳ではないんです(笑)。でも人生を振り返って、強い部分や弱い部分があるのがハードボイルドならば、そうなのかもしれない。ただ僕自身は硬派というよりも陽気な人間です。

――作画についてはついてはいかがでした?

楚歌:撃たれる寸前の体勢について資料がなかったので苦労しましたね。あとは主人公に殴りかかる父親や、その父親を手にかけるときなど、キャラクターの表情にはこだわっています。

――本作は2023年に「週刊ヤングジャンプ新人漫画大賞」準大賞と審査員特別賞を受賞していますね。

楚歌:当時その賞金ありきで暮らしていたので、獲れないとヤバかったですね。正直「獲れるだろう」とは思っていました。あと審査員のフォビドゥン澁川先生のコメントが「すごい。」だけだったのは驚きましたね(笑)。

 5年前くらいに以前作った漫画のセルフリメイクとして描いたのですが、これを作るまでは人に見せられるものを作ってこなかったんです。初めて編集さんから面白いと言ってもらえた、思い出の1作。そしてキャラを深堀りすることの大事さを考えるきっかけになった作品でもあります。

――この先はどんな漫画を描いていきますか?

楚歌:最近はホラー漫画にチャレンジしましたが、今描いている読切は陸上がテーマ。漫画を描き始めて8、9年くらいになりますが、遅筆なので世に出ている作品数は少ないので、初挑戦のジャンルは多いです。新しいことに取り組むのは大変ですけど、楽しんでますね。

 あとは連載を持ってようやく「漫画家です」と言える部分があると思っています。今年は初の連載を実現して、漫画家を名乗りたいです。

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