【漫画】20年前にタイムスリップしたら母親は息子に何を伝える? 『20年後の自分へ手紙を書いた話』が愛おしい

【漫画】母親から20年後の息子への手紙

 小さかった頃の息子に、もう一度だけ会えたなら――。水彩のやわらかなタッチで描かれた漫画『20年後の自分へ手紙を書いた話』は、過ぎていく子育ての瞬間を“未来の自分への手紙”として閉じ込めた作品だ。

 Xでは約5000件のいいねが寄せられ、子育ての最中にいる人だけでなく、子育てを終えた人や、かつて子どもだった大人たちの胸にも静かな波紋を広げている。普段、水彩画家として活動するyukkoさん(@yukko_96)はなぜ漫画を描いたのだろう。(小池直也)

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『20年後の自分へ手紙を書いた話』(yukko)

――約5000ほどのいいねが集まっていましたが、反響はいかがですか。

yukko:まさに子育て中の方はもちろん、子育てが終わった方も含め、年代や立場を超えて幅広い方々が反応してくださった印象です。目の前の慌ただしい子育てを俯瞰できるような機会にしてもらえた気がします。

 あとは子ども側から「お母さんもこういう気持ちだったのかな」という感想もありました。TikTokの投稿には500ほどのコメントがありましたし、個人的な内容が他人にとっての特別なものになるのは、驚きと感動がありますね。

――本作の着想について教えてください。

yukko:5歳と7歳の子どもがいます。本作は私自身にとってタイムカプセルみたいな作品であり、手紙ですね。目の前の育児は大変だけど、いつかは親離れしてしまうんだろうなという気持ちがあったんです。だから忙しい日常が愛おしいということを忘れないように、20年後の自分にプレゼントしようと。

――人の気持ちは年月とともに変わってしまうものですが、それについて何か思うことは?

yukko:絵具の色の重なりと似ているのかもしれません。だんだんと変わっていくことで個性が出てくるような。自分も流行りもすぐに移りゆくものですよね。

――普段はイラストを描いていらっしゃいますが、なぜ漫画にしようと?

yukko:自分のなかでは漫画というイメージではなく、あくまで「手紙」。それを表現するにはどうしたらいいかと考えたときに、こういう形式の作品になりました。あとは誕生日の度に親が手紙をくれていたんですよ。それが重なって地層のように感謝が残っていることも大きいと思います。

――制作期間は?

yukko:2日くらいですね。絵を描くのは正直そこまで上手ではないし、作業スピードは遅いです。ただ「そのときの感情を残したい」という気持ちが強くて。

 写実的じゃなくても子どもの頬の柔らかさとか、いたずらをしたあとのドヤ顔とかを見て、愛しいと思ったときの気持ちが残るように描くことを心がけています。そういう儚さを表現するのに水彩画の淡い質感が合っていると思うんです。

――いつから水彩画家として活動を始めたのですか。

yukko:2023年までは会社員と兼業していました。理解のある会社ではあったのですが、フルタイム勤務で制作は夜か土日しか取れず、家族との時間を削ることに難しさを感じていました。

制作時間を確保するために今は専業でやっています。人生で初めて「これを仕事にしたい」と思えたのが絵で、その確信とともに独立した感じです。

――今後の活動についても教えてください。

yukko:自分の心に残したいものを素直にカッコつけずに描いていきたいです。昔は怖いと感じていましたが、私自身の心をオープンにしていくことが、結果として誰かをオープンにすることかもしれないと感じているので。


■yukko
X:https://x.com/yukko_96
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