『呪術廻戦≡(モジュロ)』虎杖悠仁がまさかの再登場? 本編と密接につながる“共生”の物語

『呪術廻戦≡』虎杖悠仁がまさかの再登場?

※本稿は『呪術廻戦≡(モジュロ)』のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 現在、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で短期集中連載されている『呪術廻戦』の公式スピンオフ『呪術廻戦≡(モジュロ)』。同作は「死滅回游」から68年後の世界が舞台となっているのだが、話が進むにつれて本編とつながる要素が次々登場し、ファンたちを大興奮させている。

 同作の主人公は乙骨憂太と禪院真希の孫にあたる兄妹、乙骨真剣と乙骨憂花。地球外生命体「シムリア星人」と人類の接触を軸とした、SF色の強い物語だ。本編から長い時間が経っている上、物語の方向性もまったく違うように見えるものの、実際にはさまざまな点でリンクしている。

 まず注目を浴びたのは、乙骨兄妹の上司として登場する宇佐美という人物だ。実はこの人名は、本編でもちらっと触れられたことがある。

 「人外魔境新宿決戦」の最中、第253話で呪術高専の関係者が「最強の一級術師は誰?」という問いに答える一幕がある。そこで日下部篤也の口から出てきたのが、「俺と宇佐美以外の誰か」という言葉だった。本編に登場することは一切なかったものの、単行本28巻のおまけページにてその顔が判明。また上の命令に唯々諾々と従うタイプであることも明かされ、五条悟と冥冥に嫌われているような描写もあった。

 それに対して『モジュロ』の宇佐美は、「外務大臣臨時代理」として異星人との折衝の最前線に立つ有能な人物。同じ名前の人物が意味もなく再登場するとは思えないため、おそらくは子孫という設定なのだろう。

 しかも第7話では、宇佐美が狗巻家相伝の術式「呪言」を使用するシーンも登場。そのため読者のあいだでは、宇佐美家と狗巻家の両家が交わった子孫ではないかとも推測されている。

 さらに重要なのが、本編の主人公・虎杖悠仁の登場だ。まず第6話では、年老いた呪詛師・マサヨシが「人生唯一命懸けの敗走」の相手として、フードを深くかぶった青年の姿を思い返す描写があった。名指しはされていないが、そのビジュアルは明らかに虎杖を想起させるものだったため、大きな反響を呼んだ。

 マサヨシが高齢だったこともあり、この時点では“現役だった頃の虎杖”を回想したものと受け取られていたが、『週刊少年ジャンプ』2025年50号に掲載された第10話で状況が一変。虎杖が今も存命であることが明らかになったのだ。ただし虎杖は消息不明となっているらしく、呪術界上層部はシムリア星人への抑止力としてその捜索に力を入れるという。

 虎杖は本編の時点で15歳なので、『モジュロ』の時空では83歳となっているはず。だが作中の描写では、まるで年をとっていないかのような顔立ちが描かれており、謎めいた雰囲気を醸し出している。

68年後も続いていた? 真人と虎杖の戦い

 『モジュロ』で触れられた本編のキャラクターは、虎杖だけではない。虎杖の宿敵である真人も、思わぬ形で再登場している。

 そのシーンが描かれたのは第7話。真剣がマサヨシとの戦いの末に意識を失い、病院で治療を受けている際、真人が「なんだよ アイツじゃねえじゃん」と呟くカットが挿入されていた。本編のラストでは真人が“死後の世界”で虎杖を待ち続けるという終わり方となっていたが、68年後もその関係性が続いているのかもしれない。

 こうした描写だけでなく、『モジュロ』は作品のテーマにおいても『呪術廻戦』本編と密接につながっている。両作品はいずれも「異なる存在といかに分かり合えるのか」を問う物語となっているからだ。

 たとえば『モジュロ』の作中では“隣人”が1つのキーワードとなっており、真剣と憂花、マルとクロスの二組が対立ではなく共生を選ぶ過程が描かれている。さらにはシムリア星人と地球人が対立の兆しを孕みながらも、それぞれが懸命に共生を目指そうとするところも丁寧に描写されている。

 この隣人との共生という視点は、虎杖が宿儺に対して最後まで共生を呼びかけたことを思い出させる。『呪術廻戦』本編は“呪いと人間”という相容れない存在を登場させつつも、「対立か共存か」という揺らぎを最後まで描いた作品だった。そこで実現できなかった未来を託されているのが、『モジュロ』の登場人物たちなのではないだろうか。ここに『モジュロ』がたんなるスピンオフにとどまらず、正統な続編として存在する意義がある。

 はたして同作の物語はどんな地点へと着地するのだろうか。虎杖や真人の出番が今後あるかどうかも含めて、注目していきたい。

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