『キングダム』桓騎はなぜ作中屈指の人気キャラとなったのか? 「黒羊丘の戦い」の“主役”たりえた存在感

『キングダム』桓騎はなぜ人気キャラに?

 TVアニメ『キングダム』。「秦国連合軍、結成!李牧が誇る鉄壁の防衛線を突破せよ。 秦VS趙、全面戦争開幕 ―――― !!」そんな熱いキャッチコピーが踊る第6シリーズが10月4日にNHK総合にて放送開始する。

 第5期では作中屈指の激戦「黒羊丘(こくようきゅう)の戦い」が描かれた。その大将に任じられ、“実質の主役”的存在だったのが桓騎(かんき)だ。  昨年公開された実写映画『キングダム 大将軍の帰還』が興収80億円を突破する大ヒットとなったことで、「キングダム=王騎将軍」というイメージを持っている人も少なくないだろう。実際、今年のゴールデンウィークには大沢たかおが演じた王騎将軍の画像を使い、日常のあるあるを投稿するムーブメント「#大沢たかお祭り」がSNS上で大きなブームになったものだった。

 もちろん、王騎将軍は「キングダム」シリーズの序盤にける最重要キャラなのは間違いないが、作中にはそれ以外にも個性的で魅力的な武将は多い。その中でも圧倒的な人気を集めているが桓騎だ。主人公の信とは真逆のダークで“悪党”に近い異端キャラ。将軍になる前は大野盗団の親玉で、過去に攻め落とした城で住人全員の首をはねたことから「首切り桓騎」という異名がつくほど残忍な一面を持っている。だが一方で、軍の戦いにおいては誰も思いつかないような知略を用いて勝利し、味方からは「天才」と称されるほどの実力を持つ。

 ただやり方が酷すぎるので、味方からはよく思われていないのも事実で、とりわけ理想や正義を重んじる信とは相容れない部分が多い。「黒羊丘の戦い」は、信が将軍の一つ手前の地位である「五千人将」となって自身の戦い方や価値観を試される局面となるが、そこでは、戦が“きれいごと”だけでは済まない現実と桓騎の“大人の戦い”を見せつけられることとなる。

 また、男女かかわらず桓騎に魅了される理由が、そのカリスマ性だ。手段を選ばず確実に勝利に導く姿は部下から絶大な信頼を集め、誰から見ても絶体絶命という状況であっても、桓騎は冷静に勝利までの道筋を立てて遂行。そして部下が慌てている状況で放つ「心配すんな。全部上手くいく。」の決め台詞は読者や視聴者に頼もしさを与え、作中でも屈指の名言に数えられている。大の桓騎ファンで知られる人気YouTuberヒカルが、初著書のタイトルにこのセリフを借用したのは有名な話だ。

 さらに、良い意味でも悪い意味でも信念を貫き通している点も桓騎の魅力だろう。「戦が抜群に強ェからだろ。武将だ何だと偉そうにしてるバカ共の何倍もなァ」というセリフに象徴されるように、その自信があるからか、考え方や生き方が合わない相手に対しては舐めきった態度を取ることも。自国の王様である嬴政(えいせい)に対してまでも時に無礼な言動が見られるが、桓騎自身が認めている相手に対しては敬意を払う姿も見られ、信念を貫き通して生きている様子が伺える。

 そして追い風となる最新情報として、実写映画「キングダム」シリーズの続編も2026年夏に公開されることが決定。新キャストとして桓騎が登場することが確定しており、スクリーンで男も惚れるムンムンの色気をどの役者がどう表現するのか注目されるところだ。

 「大沢たかお祭り」に続く桓騎ブームを起こせるか、まずはアニメがその先陣を切ることになりそうだ。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる