朝井リョウの『イン・ザ・メガチャーチ』が3万部の重版、10万部を突破 現代的な消費と共感の物語

朝井リョウの最新作3万部重版10万部を突破

 朝井リョウの最新長編『イン・ザ・メガチャーチ』が9月5日に日経BPから刊行され、発売から間もなく3万部の重版が決定、発行部数は早くも10万部を突破した。

 作家デビュー15周年を記念する作品ということもあり、刊行直後から注目を集めている。本作は、異なる世代・立場にある3人の語り手を通じて物語が進行する。舞台となるのは、ファンダム経済と呼ばれる現代的な消費と共感の構造。そこに生きる人々の熱狂や葛藤を描きながら、「今の時代、人を動かすものは何か」という普遍的な問いに迫る内容となっている。SNSやメディアを中心に話題が拡散し、全国の書店でも注目を集め、紀伊國屋書店チェーンや丸善丸の内本店などで文芸ランキング1位を記録した。

 また、本作には読者が楽しめる仕掛けも用意されている。帯に印刷されたQRコードを読み込むことで、朝井自身が撮影した制作過程のBehind動画を視聴できる。執筆の裏側や作品に込められた思いが垣間見える映像は、読書体験をより深める一要素となっている。

 デビュー作『桐島、部活やめるってよ』から15年を経た朝井が、現代社会の欲望や共感の構造をどう描くのか。『イン・ザ・メガチャーチ』は、文学と時代性の接点を問う作品として大きな注目を浴びている。

あらすじ

あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」

朝井リョウさん インタビューより

ひとつ言えるのは、私は小説を「この時代の香りを瓶詰めにして残しておきたい」と思いながら書いていることが多いということ。小説を書きたいというより、標本を作りたい。という思いが強いのかもしれません。

■書誌情報
『イン・ザ・メガチャーチ』
著者:朝井リョウ
価格:2,200円(税込)
発売日:2025年9月5日(金)
出版社:日経BP 日本経済新聞出版

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