三國清三「全部僕が作った、間違いのないレシピ」最新レシピ本『ザ・シェフ三國の究極家庭おかず』刊行レポ

フランス料理シェフ・三國清三が最新レシピ本『ザ・シェフ三國の究極家庭おかず』(三國清三著/主婦の友社)を9月5日に出版し、取材会を開催。記者からの質問に、饒舌なトークで答えた。
■何度も試作を重ねた最新レシピ集
本書は、三國が著した初にして最後となる“家庭料理”に特化したレシピ集。スーパーで手に入る食材と簡単な技術を使い、ハンバーグや生姜焼き、カレーといった定番おかずから、酒のつまみやデザートまで幅広いシーンに対応できる80品が収録されている。
コロナ禍以降、三國はYouTubeチャンネル「オテル・ドゥ・ミクニ」でレシピ動画を発信してきたが、本書には同チャンネルで未公開の料理のみを掲載。出版に至るまで何度も試作を重ねたといい、ポイントは「手に入れやすい材料を使うこと」「高さを出す盛り付け」「白胡椒と黒胡椒の使い分け」だそうだ。

さらに「奥さんは大変だから、フライパンが温まるのを待たないことが多い。そこで、YouTubeで火を付ける前に食材を入れるテクニックを発明した」と紹介し、「これを使えば正確に火が通る」と強調。実際にこの手法を自身の料理に取り入れたシェフもいるという。
「家庭料理」がテーマの本書だが、三國自身は幼少期に両親が仕事で忙しく、家庭の味に触れる機会がなかったという。「だからこそ偏見がなく、いろんなものを作っています。全部僕が作った、間違いのないレシピです」と力を込めた。
そんな彼だが、今回の執筆に大きな影響を与えたのが、帝国ホテルの村上信夫料理長の推薦を受け、20歳にしてスイス・ジュネーヴの日本大使館料理長に就任した経験だった。
「朝昼晩、夜食まで料理を作ることよりも、大使の奥さんと仲良くできるかが大事な仕事だった。でも僕はこういう性格だから気に入られて(笑)。2年の契約だったんですけど、計4年務めました」とユーモアを交えて振り返ると、会場には笑いが広がった。
■料理上達の秘訣とは?
賛否が分かれるうま味調味料について「使えば99%美味しくなりますから。この本では出来合いのソースなどは取り入れていますが、基本はナチュラルなもので作っています」とコメント。
YouTubeなどで多くのレシピに触れられる時代になったことについては、「僕が始めてからプロのシェフもYouTubeをやり始めた。ユーザーにとってはいい時代。同じような料理でも個性が出ていて面白い。料理研究家も増えましたけど、プロではないですからね(笑)」と冷静に分析していた。

料理上達の秘訣は「失敗しなきゃ上手くならない。あとは外に食べに行くこと。食べて、自分なりにアレンジする。これはフランスのシェフも同じです」と語り、9月から四谷で新たな店をスタートさせたばかりだが、これについても「本当に大変だけど、言った手前、頑張らなきゃいけない」と笑顔。70歳になってもなお、三國は前進し続ける。






















