『バトル・ロワイアル』から『カイジ』『GANTZ』まで…… 『今際の国のアリス』が到達したデスゲームの最新形

Netflixの大ヒットシリーズ『今際の国のアリス』が、ついにシーズン3へと突入する。山﨑賢人と土屋太鳳がW主演を務め、9月25日から世界同時配信される本作は、いわば“デスゲーム”作品の進化系といえる存在だ。
『今際の国のアリス』がカテゴライズされる「デスゲーム」のルーツは意外に深い。「デスゲーム=限定空間に複数の存在を閉じ込めて争わせる構造」と定義するなら、古代ローマのコロッセオの剣闘士や古代中国の殷・周時代の呪術「蠱毒」がその元祖と考えられるかもしれない。さらに文学では1954年のウィリアム・ゴールディング『蝿の王』が少年たちの殺し合いを描き、1979年スティーヴン・キング『死のロングウォーク』でゲーム化された生存競争が提示される。1997年の映画『CUBE』は閉鎖空間での不条理サバイバルを映像化し、現代デスゲームの雛形を作り上げたと考えられる。
日本では1999年の高見広春『バトル・ロワイアル』が決定打となり、国家による殺し合いプログラムという衝撃的な設定が社会現象となった。翌年、映画化された際の宣伝では「デスゲーム」という文言が使用され、「バトロワ系」という呼称も定着。以後の漫画・アニメ・ゲーム作品に大きな影響を与えたことは間違いない。
「デスゲーム」の有名作品といえば、福本伸行『賭博黙示録カイジ』だろう。借金返済という現実的なリスクを背負った主人公が命懸けのギャンブルで心理戦を繰り広げる点が多くの支持を集めた。電流鉄骨渡りや限定ジャンケンといった独創的なルールは、極限の状況で人間の本性をさらけ出させ、読者も主人公の目線で緊張感を味わうことになる。
奥浩哉『GANTZ』は、死者が突然集められ謎の命令で宇宙人と戦わされる理不尽さが魅力だ。ハードSF的ガジェットや武器の描写、異世界的な緊張感、そして生死の不可避性が組み合わさり、現実と非現実が交錯する独特の世界観が読者を引き込んでいた。緻密な画力と予想を超える展開も、長期連載を支えた要因だろう。
さらに『LIAR GAME』は、巨額の資金をめぐる騙し合いを通じて人間心理と信頼関係の脆さを描く知能戦に特化している。天才詐欺師と正直者の異色コンビによる駆け引きは、「頭を使って生き残る」楽しさを前面に押し出し、多くの読者を魅了した。
『BTOOOM!』は武器を爆弾に限定したサバイバルゲームで、プレイヤー同士の戦略性とサバイバル要素を融合させた。孤島という閉鎖空間で、爆弾の配置やタイミングが生死を左右する斬新さがヒットの理由とされ、心理的駆け引きと肉体的リスクの両立によりデスゲームジャンルの可能性をさらに広げたと考えられる。
振り返れば、『ジョジョの奇妙な冒険』『幽☆遊☆白書』『魁!!男塾』などにもルール付きの決闘や命懸け試練が登場し、デスゲーム的なスリルは昔から少年漫画の重要なエッセンスだった。
では、なぜ人はデスゲームに惹かれるのか。それは「選択が直ちに生死を分ける」という究極の緊張感と、人間の本性が露わになる瞬間に立ち会えるからだろう。閉鎖空間は人間関係を濃縮し、信頼・裏切り・愛憎が凝縮される。読者や視聴者も「次は誰が死ぬのか」「誰を信じるべきか」とキャラクターと同じ立場で物語を追体験できるように思われる。
『今際の国のアリス』はその集大成であり、頭脳戦・肉体戦・心理戦をミックスした完成度の高いデスゲーム作品だ。シーズン3ではアリスとウサギが引き離されることで、再会へのドラマとゲームの緊張感が一層強まるだろう。
また、今作におけるデスゲームは単なるスリルではなく、「絶望の先にある希望」を手繰り寄せる舞台装置でもある。最新シーズンで二人は何を選び、何を失うのか。9月25日、三度“今際の国”へと誘われた視聴者は、その結末に釘付けになりそうだ。






















