『イクサガミ』Netflix実写化で“世界の今村翔吾“に? 海外メディアは『SHOGUN』×『イカゲーム』と紹介

『イクサガミ』実写化で“世界の今村翔吾“に?

 先日、Netflixでの映像化が発表された今村翔吾の小説『イクサガミ』。ネットフリックスでの全世界規模の配信作品ということで、海外メディアからも注目を集めるタイトルとなっている。

 近年の配信ドラマに関しては、日本を含めたアジア圏の作品や、日本の歴史を題材とした時代劇も話題を集めることが増えている。大きな注目を集めた作品としては、エミー賞やゴールデングローブ賞を受賞した真田広之主演の『SHOGUN』が挙げられるだろう。またアジア圏製作の配信作品として世界規模で話題を集めたタイトルとしては、韓国の『イカゲーム』もある。

 『イクサガミ』は、上記2タイトルの内容を組み合わせたような内容と言える。作品の舞台は明治初期、侍の時代が終わりかけているころ。京都から東京までを移動しながら、手練の武芸者たちが莫大な賞金のためにデスゲームを戦うという本作のストーリーは、まさに『SHOGUN』と『イカゲーム』のいいとこどりと言っていい。配信ドラマ化されたのも納得である。

 こういった特徴を持つ実写版『イクサガミ(英題『Last Samurai Standing』)』については、すでに海外メディアでも報道されている。UPI通信社、Yahoo Entertainmentなど報道各社は、実写化について原作者の今村氏のコメントなどを交えつつ短報を掲載。またNetflixに関するニュース記事を掲載しているWhat's on Netflixでは、主演を務める岡田准一について、Netflixで見られる他の作品についても触れつつコメントを紹介。また岡田以外のキャストについてもまとめている。

 Business Insiderでは、本作を「Netflixが非英語作品に注力する戦略の一環」として捉え、さらに『Last Samurai Standing』の内容を“Shōgun + Squid Game”と表現。作品の内容を紹介しつつ、現在の非英語作品の世界的人気にNetflixが着目しており、それを展開する戦略の一環ではないかという着眼点で紹介した。

 同様の着眼点の記事としては、スペイン語圏向けのニュースサイトであるMeristationの記事もある。Meristationでは『イクサガミ』を「‘El juego del calamar’ en el Japón Feudal」、つまり、封建時代の日本での『イカゲーム』と記事タイトルで表現。明治期は封建時代ではないものの、「昔の日本を舞台にした『イカゲーム』のようなデスゲームものである」という観点で紹介。日本国外の人間が想像する華やかな侍像ではなく、明治期に突然「一般人」という立場にされてしまった侍たちのデスゲームである点についても書かれている。

 総じて、海外メディアの報道としても「元々侍だった者たちのデスゲーム」「『SHOGUN』と『イカゲーム』の要素を組み合わせた作品」という側面が紹介されており、新機軸のデスゲームものアクションドラマという報道となっている。これはひとえに、『イクサガミ』という作品の強みと言えるだろう。どのような内容にせよ、「一言でストーリー・内容・雰囲気を伝えることができる」というのは作品にとって強烈なアドバンテージである。

 「『SHOGUN』と『イカゲーム』を足した、侍たちのデスゲームもの」と、ヒット作2本を引用しつつ一発で内容を伝えることができる『イクサガミ』は、日本国外でもヒットする可能性が高い。シンプルに内容を要約できるということは、それだけ作品の芯が強いということだからである。

 恐るべきは、これだけ説明が単純で、誰が聞いても「面白そう」と思える作品をものにした今村翔吾の筆力である。また『イクサガミ』は往年の山田風太郎作品にも近いテイストを感じる小説でもあり、テンポの良いアクションやストーリーの引きの強さで読者を振り回す純日本製エンターテイメントが海外でも好意的に紹介されている点は、アクション性の強い時代小説を愛好する読者にとっては心強いはず。実写版『イクサガミ』がヒットすれば、あの作品やこの作品もいけるのでは……! 海外での『イクサガミ』実写化のニュースの捉えられ方からは、いろいろな夢が広がるのであった。

Netflix『イクサガミ』主要キャスト

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