【漫画】おひとりさま女子、主婦、シングルマザー……アラサー女性のリアルな日々を描く『33歳という日々』

――Xに投稿してみて、手応えはいかがですか。

鈴木みろ(以下、鈴木):もともとInstagramで投稿していて、Xでの投稿は本が出版される直前に始めました。今は色々と教えてもらったり、考えたりしながら手応えを感じられるように試行錯誤して頑張っています。
――印象的だった感想などもあれば教えてください。
鈴木:タイトルで検索すると、5年も前に「本にならないかな〜」というポストをしてくれていた人がいて。「ちょっと遅くなったけど、本になりました!どうもありがとうございます!」という気持ちになりました。
自分がInstagramに投稿するようになってから、「いつも見てます!」とか「楽しみにしています!」という言葉がとても励みになると知り、私自身も「好きだ!」という思いを発信するようになりました。たとえ届かなくても、みんなが好きなものを言いあう世界はいいなあと思っています。
――ご自身の「誰にも言えない切なさや、寂しさを描く」という自身の制作姿勢についても聞きたいです。
鈴木:始まりは「割と読んでくれる人が多いかも」、「嬉しいな、もうちょっと描いてみよう」という感じだったのですが、少しずつ誰にも言えない気持ちや想いを送って下さる方が増えて、もっと描いてみようという気持ちになりました。いただいたメッセージを読んだ後にその人のポストを見ると、どこかに出かけたり、お買い物をしたり、美味しそうなものを食べたりしていて楽しそうだし、側から見れば羨ましいとすら思える世界が確かにそこにあって……。
だけど現実には私に打ち明けてくれた世界もあって、両方の世界を彷徨いながら、それでも毎日踏ん張って頑張っている。そういう人たちがたくさんいるんだろうなぁと思って、今描きたいものはこれだなあ、と再認識しながら描き続けてきました。
――セリフやモノローグでは短い言葉が印象的に響きますが、意識している点はありますか。
鈴木:ついつい長くなってしまうので気を付けています。また「あまりにも重たいかな?」と感じた時があって、担当編集さんに相談したら「絶望に寄り添う本があってもいいじゃないですか」という言葉をもらったこともありました。その時に「うん、そうだよな。どうしたって前向きになれない時もあるし、無理に明るくしなくていい」と思えました。
――他に描いている時の苦労などはあります?
鈴木:登場人物たちのことがとても好きなので、「エリちゃんみたいなタイプが嫌いです!」と言われると悲しい気持ちになってしまったり、落ち込んでしまうことですね。
――リアルな物語にキュートな作画が混ざることで、さらに切なさを増すと思います。作画について意識されていることなどがあれば教えてください。
鈴木:ついつい顔が大きくなってしまうので気を付けています。
――3巻までの発売が決定している、単行本の読みどころを教えてください。
鈴木:主人公の3人(独身彼氏なし・このみ、シングルマザー・ゆみ、子なし夫婦・エリ)も、その周りにいるキャラクターも、どこにでもいる頑張り屋で素朴で真面目な普通の人たちです。だからこそ、3冊とも、主人公と違う立場の人が読んだとしても、どの話から読んだとしても、共感できる物語になっていると思います。
「私、20代じゃなくなるんだ…」そう思いながら30歳になって、いつの間にか33歳。結婚すれば名前も変わり、鏡を見れば肌も変わる。先輩ばかりだった職場でも後輩が増え、会える友達も減っていく。なんでこんなに何もかも変わってしまうんだろう。そんなもどかしさをいくつも抱えているところに、「35歳になったら高齢出産だ」と囁かれる。特別、子どもを望まなくても、何かに追われるような気持ちになる。そんな寂しくて怖くてもどかしい夜に、この本を開いていただけたらと思います。
――なるほど。
鈴木:それから装丁もとても気に入っているのでぜひ見て頂きたいです。3冊並べると可愛さが増します。ブックデザインは脇田あすかさんに担当して頂きました。
――今後の展望や描きたい作品などがあれば最後にお願いします。
鈴木:今回、本にするにあたり、こぼれてしまった話が沢山あるのでそれを何かしらの形で発表したいです。0歳児をおいて出て行った、ゆみの旦那さんのことや小さな頃のエリを掘り下げた作品など、描きたいものは沢山あります。
『33歳という日々』とは関係ない話を描くとしたら、犬が好きなので、犬が出てくる話がいいなと思っています。






















