『鬼滅の刃』『ドラゴンボール』『H×H』出番は一瞬なのに大人気……ジャンプ漫画の“即死モブ”たち

突如作中に現れたかと思いきや、名前や設定が明かされる間もなく一瞬で死亡してしまう……。そんな即死系のモブキャラが登場する漫画は少なくない。しかもなぜか読者のあいだで熱狂的な人気を集めがちだ。
今回は『週刊少年ジャンプ』(集英社)の作品に登場するレジェンド級の“即死モブ”たちを取り上げ、その人気の秘密に迫っていきたい。
■『鬼滅の刃』名もなき“即死”鬼殺隊員
敵も味方もあらゆるキャラクターが熱い生き様を見せる『鬼滅の刃』だが、単行本5巻では、生き様を見せる間もなく死んでいったモブキャラが描かれていた。
物語序盤の「那田蜘蛛山」編で、主人公・炭治郎たちは鬼殺隊士たちが蜘蛛の糸のようなもので攻撃されているところに遭遇する。そしてそのボスとして登場するのが、下弦の鬼・累(るい)だった。
炭治郎との戦闘が始まる直前、森の中から鬼殺隊士が突如出現。子どものような見た目をしている累を侮り、薄笑いを浮かべながら斬りかかっていくが、相手を振り向かせることもできずに屠られてしまう。
このシーンのインパクトが大きかったのは、教科書通りとも言えるフラグ回収の仕方にある。「こんなガキの鬼なら俺でも殺れるぜ」と余裕しゃくしゃくのセリフを吐いておきながら、次の瞬間には木っ端微塵。その出番は原作では4ページ、TVアニメではおよそ30秒という尺で、清々しいほどの出落ち感だった。
おまけにその散り様は、全身を蜘蛛の巣状に斬り刻まれてバラバラになるというもの。あまりにショッキングな光景だが、ファンからは愛情を込めて「サイコロステーキ先輩」と呼ばれている。
■『HUNTER×HUNTER』作中屈指の名言を放ったモブキャラ
人気の高い即死モブは『HUNTER×HUNTER』にも存在する。それは幻影旅団が暗躍した「ヨークシン編」で登場した、名もなき殺し屋だ。その殺し屋は、幻影旅団の団長・クロロが手刀でネオン=ノストラードを気絶させた際、映像を見て何が起こったのか見抜いてみせた人物。「おそろしく速い手刀 オレでなきゃ見逃しちゃうね」というセリフはあまりに有名だろう。彼の正式な本名は明かされておらず、ファンのあいだでは「団長の手刀を見逃さなかった人」という通称で知られている。
彼はクロロの実力に興奮し、「久々に血が騒ぐ」「オレの獲物だ」といかにも強キャラめいた発言を連発していく。そして意気揚々と1対1で戦いを挑むのだが、次の話で即座に敗北。しかも身体をバラバラにされて壁に貼り付けられるという無残なやられ方だった。
ただ、彼に関しては“実は本当に強キャラだった”という説も。よく見ると戦闘後のクロロは、ネクタイを途中で切り落とされているため、それなりに肉薄した戦いだったのではないか……とも考えられるからだ。物語の余白に想像力を膨らませられるのは、即死キャラならではの醍醐味と言えるだろう。


















