『ドラゴンボール』単行本、絵がつながる背表紙の異変 原作者のミスで2回登場したキャラといえば?

『ドラゴンボール』背表紙に2回登場したキャラ

 鳥山明の漫画『ドラゴンボール』の単行本の背表紙をつなげると、絵ができあがるのをご存じだろうか。単行本には旧版と新装版があるが、旧版は1~7巻を揃えると神龍の絵ができあがり、8~42巻は孫悟空やブルマなど主要な登場人物が登場する絵になっている。新装版でもやはり、背表紙を並べると1枚の絵ができあがるスタイルが踏襲されている。

 単行本を揃える楽しさが生まれる見事な仕様だが、旧版にはちょっとしたトリビアがある。鳥山明の作画ミスで、なんと2回も登場してしまったキャラクターがいるのだ。いったい誰か、ご存じだろうか?

 正解はヤジロベーだ。

 鳥山明は本当にうっかりミスで2回描いてしまったらしく、読者の指摘を受けて発覚したそうだ。その旨を単行本の表紙のコメント欄で触れ、お詫びしている。ただし、このうっかりミスは新装版の発刊までは特に修正されることなく、そのままだった。

 鳥山明は『Dr.スランプ』でも、自身が過去にやらかした作画ミスを紹介するおまけページを単行本に載せたことがある。すると、それを見た読者からさらなる作画ミスを指摘する手紙がたくさん届いたと、単行本で語っている。当時のジャンプ読者は、こういった粗探しを含めて漫画を楽しんでいたことがよくわかる。

 思えば、荒木飛呂彦の『ジョジョの奇妙な冒険』の有名な誤植「何をするだァーッ!」も長らく修正されなかった。鳥山も荒木もこうしたミスを敢えて直さなかったのだろうか。むしろ、読者の娯楽として残してくれていたのだろうか、などと想像してしまう。

 話を『ドラゴンボール』に戻すが、ヤジロベー以外にも2回登場したキャラクターがいる。それは孫悟空で、8巻の背表紙では子どもの姿だが、39~42巻(最終巻)は大人になった姿が描かれている。当然だがこれは作画ミスではない。孫悟空の成長を感じさせる素晴らしい演出だ。

 こうした背表紙を使った遊びは、ジャンプの単行本に多い。単行本を揃えると絵ができあがる仕掛けは、『Dr.スランプ』にもあるし、『ジョジョの奇妙な冒険』や『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、『珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-』などにもみられる(一部の巻で行われているものも含む)。こうした所有欲を満たす仕掛けは紙の単行本ならでは。単行本を本棚に並べる楽しみは、電子書籍では味わえない魅力である。

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