『ジークアクス』は『機動戦士ガンダム』の偽物なのか? 第11話からラストの展開を考察

■ニュータイプとして真か偽か
ここまではいい。問題は「本物か偽物か」「その行動はニュータイプとして真か偽か」という議論を重ねた果てにゼクノヴァが起こり、「本物のガンダム」が『GQuuuuuuX』の世界にやってきてしまうという終盤の展開である。本物と偽物というテーマは、これまでのエピソードでも何度も言及されてきた。マチュとニャアン、強化人間とニュータイプ、「本物」として選抜されることだけを考えていたエグザベと「偽物」でも自分なりの正義のためにフラナガンスクールのパイロット候補を暗殺していたミゲル……。『GQuuuuuuX』には「本物」と「偽物」の対比関係に置かれるキャラクターや立場がいくつも登場する。
それはおそらく、この終盤の展開と重ね合わせるためだったのだろうと思われる。『GQuuuuuuX』の世界の外に「正しいガンダムの世界」があり、ゼクノヴァはふたつの世界をつないでしまう。そして別世界からやってきたララァの思念によって歪んだ『GQuuuuuuX』の世界に、「本物」のガンダムがやってくる。
『Beginning』を見た時に自分が期待した物語とは、ずいぶん違うものになってしまったと思う。建て増し旅館のように無計画に拡張されてきたガンダムシリーズの年表を一度全部吹き飛ばし、『機動戦士ガンダム』の第一話という本当の一番最初の地点から語り直すことで、誰も見たことのないガンダムを作り出すことができる……。『GQuuuuuuX』はそのような、大胆極まる試みになると思っていた。
だが、もはや「正史」の存在が明らかになり、「本物」のガンダムが『GQuuuuuuX』世界に侵入してきてしまった。建て増し旅館は建て増し旅館のまま、『GQuuuuuuX』世界の横に初めから存在していたのである。してみれば、作中で散々対比されてきた「本物」と「偽物」の関係に照らし合わせてみれば、『GQuuuuuuX』の世界は偽物だったということになってしまう。我々は11話にわたって「偽物のガンダム」を見せられていたのだ。驚愕である。
しかし、「偽物」の主人公にしては、マチュにはポテンシャルがありすぎる。思いつきと勢いで行動し、思春期らしい苛立ちを隠さず反抗的ながら、優しさも持った暴れん坊で反骨の主人公である。このキャラクターが「お前たちの世界は偽物だ」と言われて、そのまま黙っているとは思えない。必ず何か、本物と偽物の関係をひっくり返すような、突拍子も無い行動をとってくれるのではないかと思う。
ということで、残り一話となった『GQuuuuuuX』だが、自分としては『GQuuuuuuX』世界がただの「『機動戦士ガンダム』の偽物」ということで終わらない展開を期待したい。それをやってのけるだけのポテンシャルが、マチュの破天荒さにはあるはずだ。





















